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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻5号

2003年05月発行

文献概要

質疑応答

病 理 組織標本の「チャター」と薄切法

著者: 谷澤徹1

所属機関: 1杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.549 - P.551

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Q

子宮および子宮筋腫の組織を薄切する際に時々標本が「すだれ」てしまうことがあります.子宮筋腫のような組織の薄切方法についてご教示ください.また,脱灰液(K-CX脱灰液-成分はキレート剤,塩酸 藤沢薬品工業)に子宮筋腫を浸けると薄切しやすくなるのはなぜでしょうか.(愛知県・Y生) 


A

1.はじめに

 子宮や子宮筋腫の標本を作製した際に染色後の標本を観察すると,ご質問にあるように,縞状あるいは波状の「すだれ」模様を生じていることがあります.これは薄切した際,帯状に切片の厚い部分や薄い部分ができてしまうためにみられるもので,硬く弾性の強い組織のブロックを薄切したときによく起こります.この場合の「すだれ」模様は刃線に対して平行で,一般に「チャター」と呼ばれています.この「チャター」がなぜ生じるのか,また,どのようにすれば防げるかについて考えてみましょう.さらに,子宮筋腫が硬くなる理由に少し触れたのちに子宮筋腫のブロックを薄切しやすくする工夫をいくつか紹介し,その機序について考察してみましょう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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