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文献詳細

雑誌文献

臨床検査47巻9号

2003年09月発行

文献概要

今月の主題 PSA 総論

ProPSA,BPSA:血清free PSA分子に刻印された前立腺疾患鑑別の鍵

著者: 佐伯ひろみ2

所属機関: 1 2ベックマン・コールター株式会社

ページ範囲:P.981 - P.988

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〔SUMMARY〕 前立腺特異抗原(Prostate specific antigen;PSA)は前立腺癌の血清マーカーとして広く普及している.しかしPSAは良性・悪性前立腺疾患いずれにおいても血中で増加するため,前立腺癌の早期診断という観点からは,特異性に限界があった.筆者らは,前立腺肥大症(BPH)と前立腺癌それぞれに高い構造特性を有するfree PSA分子を発見した.BPSA(Benign PSA)はBPHに,一方pPSAはPSAの前駆体proPSAで酵素活性が欠如し,前立腺癌と高い関連性を示した.BPSA,pPSAそれぞれに対して特異性・感度の高い研究用免疫測定法を開発し,血清PSA高値男性群でfree PSAに対してBPSAは中央値で28%,pPSAは32%を占めた.しかし,いずれも検体によりfree PSAの0~50%の範囲で大きく変動を示した.

 PSA値2~10ng/mlの濃度範囲の保存血清1,517検体を対象にROCカーブによる癌特異性,感度の評価を行うと,%pPSA(pPSA/free PSA)のROCカーブ下面積は0.683,%free PSAは0.659,cPSAは0.582で,%pPSAが優位であった(p<0.0001).さらにcPSA,free PSAと比べ,pPSAは癌の侵襲度と高い関連性があることが示された.BPH関連BPSAと癌関連pPSAとは相補的に,前立腺癌と良性疾患の鑑別向上に寄与することが期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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