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今月の主題 PSA 話題
日本人の前立腺癌の疫学調査―PSAを中心として
著者: 佐田文宏1 岸玲子1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科公衆衛生学分野
ページ範囲:P.1011 - P.1014
文献購入ページに移動1.はじめに
前立腺癌は,欧米諸国では,肺癌とともに最も発生頻度の高い臓器癌の1つであり,人種的には黒人が最も高く,白人が次ぎ,アジア系人種は少ないという特徴がある.一方,わが国では,他のアジア諸国と同様,前立腺癌は比較的稀な癌であったが,近年,女性の乳癌とともに,増加する傾向にある.この増加傾向は,高齢社会の到来による老齢人口の増加,食習慣の欧米化,広範な環境汚染の影響などによるものと考えられている.さらに,前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)などの血清マーカーによる検診技術の向上が,この増加傾向に寄与していると思われるが,がん検診の普及の行き渡った米国では,急激な増加が続いた後,逆に減少に転じている.PSAは1980年代に臨床導入され,前立腺がん検診への適用とともに治療効果のモニタリング,癌の浸潤度,根治術後の予後予測などにおいても有用性が検討されている.
前立腺癌は,欧米諸国では,肺癌とともに最も発生頻度の高い臓器癌の1つであり,人種的には黒人が最も高く,白人が次ぎ,アジア系人種は少ないという特徴がある.一方,わが国では,他のアジア諸国と同様,前立腺癌は比較的稀な癌であったが,近年,女性の乳癌とともに,増加する傾向にある.この増加傾向は,高齢社会の到来による老齢人口の増加,食習慣の欧米化,広範な環境汚染の影響などによるものと考えられている.さらに,前立腺特異抗原(prostate specific antigen;PSA)などの血清マーカーによる検診技術の向上が,この増加傾向に寄与していると思われるが,がん検診の普及の行き渡った米国では,急激な増加が続いた後,逆に減少に転じている.PSAは1980年代に臨床導入され,前立腺がん検診への適用とともに治療効果のモニタリング,癌の浸潤度,根治術後の予後予測などにおいても有用性が検討されている.
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