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白癬菌Trichophyton tonsuransの急速な感染拡大
著者: 望月隆12 長谷井麻希1 田邊洋1
所属機関: 1金沢医科大学環境皮膚科学教室 2総合医学研究所皮膚真菌学研究部門
ページ範囲:P.1573 - P.1576
文献購入ページに移動Trichophyton tonsuransは1990年代から北アメリカ,スウェーデン,韓国,ドイツにおいてレスリング,柔道競技者の白癬の集団発生の原因菌として知られていた.しかしわが国での確認は遅く,2002年以降,高等学校レスリング部員や柔道部員の間に本菌による白癬の集団発生が生じていることが報告された1~3).その後,高等学校や大学の強豪チームに限られているかにみえた感染が,社会人,中学生や中堅チームに拡大していること,その分布もすでにほぼ全国に拡がっていることが明らかになった.さらに最近では家族に2次感染を起こした例も報告されている.この状況では流行の制圧は皮膚科医の能力のみでは困難で,臨床検査施設,真菌研究者,各種競技団体,行政や学校が協力して対策をたてる必要があるといえる.本稿ではT. tonsurans感染症の典型的臨床像を提示するとともに,本症の診断に必須である真菌同定法について解説する.
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