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文献詳細

雑誌文献

臨床検査48巻7号

2004年07月発行

文献概要

研究

日本人のHIV感染患者尿にみられた結晶

著者: 長濱大輔12 岩谷良則2 高松純樹1

所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院検査部 2大阪大学大学院医学系研究科保険学専攻

ページ範囲:P.815 - P.819

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〔SUMMARY〕 尿中不明結晶は,日常の尿沈渣検査では同定できない結晶である.それは,針状を呈する薬剤結晶が多い.今回,われわれはHIV感染患者尿に数種の異なった形態を呈する不明結晶をみた.投薬内容を調べたところ,プロテアーゼ阻害剤であるIndinavir(インジナビル)が共通に投与されていた.これより,不明結晶とインジナビルを赤外分光分析法で定性分析したところ,同一の物質であることが判明した.さらに,尿中インジナビル結晶陽性者に軽度な腎障害を認めた.その原因は,水に難溶なインジナビルが尿細管あるいは集合管に結晶として析出するためである.臨床的には,尿中インジナビル結晶をチェックすると同時に患者に十分な水分摂取(通常量+1.5l/日)を促さなければならない.これはクリスタル腎症,腎結石,結晶性急性腎不全などを回避するのに重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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