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文献詳細

雑誌文献

臨床検査48巻8号

2004年08月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 転写因子・8

転写因子と免疫疾患

著者: 出原賢治12

所属機関: 1佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野 2佐賀大学医学部附属地域医療科学教育研究センター重点医療研究部門

ページ範囲:P.903 - P.907

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はじめに

 生体の免疫反応とは,外来の異物をプロフェッショナルな免疫細胞が認識し,その情報を細胞表面上の分子,あるいは液性因子を介して他のプロフェッショナルな免疫細胞に伝達していき,最終的にはその異物を除去するしくみであると定義してよい.このような外来異物の認識機構,あるいは情報伝達機構においても数々の転写因子がかかわっている.このため,これらの転写因子の異常により免疫調節機構に異常が生じる場合がある.免疫調節機構において機能低下が生じれば免疫不全状態となり,機能亢進が生じれば自己免疫疾患やアレルギー疾患といった免疫亢進状態が生じうる.本稿では,転写因子に起因する免疫疾患のうち,前者の例としてベアリンパ球症候群(bare lymphocyte syndrome)を,後者の例として自己免疫性多発性内分泌症(autoimmune polyendocrinopathy;APECED)と免疫調節異常,多発性内分泌症,腸症,伴性劣性遺伝性症候群(immunodysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked syndrome;IPEX)を取り上げて紹介したい.転写因子であるNF-κBも関節リウマチなどのいくつかの免疫疾患にかかわっていることが知られているが,NF-κBについては本シリーズにおいてすでに紹介されているので1),そちらを参考にしていただきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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