文献詳細
文献概要
今月の主題 院内感染制御 話題
海外からの感染症の院内感染制御
著者: 川名明彦12
所属機関: 1国立国際医療センター呼吸器科 2国際疾病センター
ページ範囲:P.665 - P.669
文献購入ページに移動1. はじめに
かつて日本国内でも赤痢,腸チフス,マラリア,寄生虫などによる感染症が多数見られた時代があるが,医学の進歩と衛生状態の改善により,現在これらの疾患は減少あるいは消失したかに見える.しかし海外では,熱帯・亜熱帯地域を中心にこれらの感染症が依然として流行しているばかりでなく,近年新種の感染症が出現している地域もある.現在日本から海外に出かける旅行者の数は毎年約1,500万人,海外から入国する外国人の数は約500万人1)と膨大な数にのぼり,海外でこれらの感染症に罹患する機会も増大している.航空機による高速移動のため,潜伏期間中に帰国することも十分可能であり,帰国後に発病する例もしばしば見られる.一般に日本の医療従事者は,海外の感染症に関して十分な知識を身につけていない場合が多く,診断やその管理に困惑しがちである.本稿では,これらの感染症の院内感染対策に焦点を絞ってまとめた.
かつて日本国内でも赤痢,腸チフス,マラリア,寄生虫などによる感染症が多数見られた時代があるが,医学の進歩と衛生状態の改善により,現在これらの疾患は減少あるいは消失したかに見える.しかし海外では,熱帯・亜熱帯地域を中心にこれらの感染症が依然として流行しているばかりでなく,近年新種の感染症が出現している地域もある.現在日本から海外に出かける旅行者の数は毎年約1,500万人,海外から入国する外国人の数は約500万人1)と膨大な数にのぼり,海外でこれらの感染症に罹患する機会も増大している.航空機による高速移動のため,潜伏期間中に帰国することも十分可能であり,帰国後に発病する例もしばしば見られる.一般に日本の医療従事者は,海外の感染症に関して十分な知識を身につけていない場合が多く,診断やその管理に困惑しがちである.本稿では,これらの感染症の院内感染対策に焦点を絞ってまとめた.
参考文献
1) 総務省統計局統計表.http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm
2) 岡部信彦:輸入感染症.標準感染症学第2版(齋藤厚,那須勝,江崎孝行編),医学書院,pp149-164, 2004
3) 厚生労働省感染症法国数(年別概況).http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansen/houkoku.html
4) Garner JS:Hospital Infection Control Practices Advisory Committee. Guideline for isolation precautions in hospitals. Infect Control Hosp Epidemiol 17:53-80, 1996 http://www.cdc.gov/ncidod/hip/ISOLAT/Isolat.htm
5) Larkin JA, Sanders LI:Viral hemorrhagic fever. APIC text of infection control and epidemiology. Volume 2, 118-1~5
6) Siegel J, Strausbaugh L, Jackson M, et al:Draft guideline for isolation precautions, preventing transmission of infectious agents in healthcare committee. (改訂中)
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