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文献詳細

雑誌文献

臨床検査49巻6号

2005年06月発行

文献概要

今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・18

乳腺疾患―DCIS,微小乳癌

著者: 尾本きよか1

所属機関: 1自治医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.586 - P.588

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 非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)とは,乳管由来の癌細胞が乳管内小葉内に留まっていて間質への浸潤がみられないこと,すなわち癌の構成成分が乳管内癌巣のみの乳癌のことをいう.通常リンパ節や他の臓器に転移することはなく,手術で原発巣を取りきれれば完全に治すことができるとされる.しかし,たとえ浸潤性乳管癌であっても,発見された時点でその大きさが十分に小さければ,治癒する可能性は高い.それゆえDCISや微小乳癌の早期発見は大事であり,それらの超音波所見を日頃から理解しておくことは重要と考える.

 乳癌取扱い規約によると,腫瘍(原発巣)の大きさはT1≦2cmと定義されている.すなわち2cm以下の小さい段階で発見し,切除できれば病期分類のうえからも比較的良好な予後が期待できる.今回はまず小さな乳癌,特に1cm以下の浸潤性乳管癌の超音波像を提示する.図1は腫瘍径7mmと小さいが辺縁粗雑な低エコー腫瘤で,この写真だけからでは浸潤所見は明らかではない.しかし,別方向からの観察で周囲組織の引き込み像があったり,内部にわずかではあるが血流シグナルを認めたことより,悪性を考えた症例である.図2の腫瘍も径8mmと小さいが,縦横比が1以上と大きく,境界部に高エコー帯,すなわちハローを認めることより,乳癌と診断することは容易であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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