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文献詳細

雑誌文献

臨床検査5巻1号

1961年01月発行

文献概要

私の工夫

精子の運動率測定法

著者: 安武豊志男1

所属機関: 1日本鋼管病院産婦人科

ページ範囲:P.29 - P.29

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 不妊性男子精液の精子の運動性を顕微鏡直視下に測定するには,1)運動精子の計数比,2)運動の程度(Herman&Swanson,Belonoshkin分類),3)運動の様式(前進,回施,振動運動),4)定距離到達能力,5)運動継続時間,6)運動速度等を求めて綜合判定を下す必要がある。
このうち運動率として算定する場合は通常(1)の方法で,精子運動率=運動精子数/運動精子数+非運動精子数×100%で表わすが,実際には視野の中を多数の活発に運動する精子が主体的に頻繁な出入りをするので,即座に計数しようというのは非常な無理が伴うものである。そのため成書に準じて視野縮小器を用いるとか,対物レンズに厚紙を入れて4分円にするとか,精子濃度の高い場合は適宜稀釈するという手段がとられているが,数回の平均値をとるにも拘らず未熟者の測定成績はむらが多く或はバカに良かつたり悪かつたりConstantでないという傾向がある。方法は簡単で一枚のスライドガラスに一滴の精液を滴下し,カバーガラスで蔽うだげであるが,その原因を探究するとこうである。表に示すように,かような可検標本では死亡精子の沈降によって,精液層に濃度勾配を生じ,精液層に対する顕微鏡の焦点の深度によって運動率の計数上に差を生じるからである。運動精子は全層に亘つて略平等に分布するが,死亡精子は下層に至る程多い。従つて検査者がどの層を選んだかによつて測定値が異つてくる。この欠点を防止するには 1.原精液をよく撹絆しておくこと。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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