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濾紙電気泳動法の実際(5)—脳脊髓液蛋白の分画法
著者: 伊藤斉1
所属機関: 1慶応大学医学部神経科
ページ範囲:P.485 - P.491
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前月号迄2回にわたつて複合蛋白分画法について説明し,阿部氏の3回に及ぶ血清蛋白分画法の実際についての解説に加えると一応これで血清についての濾紙電気泳動法はその大体の解説を終つたわけであるが,今回は更に追加として最近割合利用価値の認められて来た脳脊髄液(以下髄液と略す。)の濾紙電気泳動法について述べることとする。
血清濾紙電気泳動法はその臨床応用価値が広く認められて,我国では非常に普及してきているが,この髄液の濾紙電気泳動法については国内一部の,主として精神神経科ないしは内科の神経病学部門の研究室で利用されているのみで,どうも難かしいものという観念を抱いている向が少くないようであるが実際にやつて見ると非常に簡単にできて,特別な装置も要らず血清濾紙電気泳動を行つている臨床検査室ならどこでも,手軽に出来ると思われるので,既にこれは研究の段階は過ぎて,ルーティンの方法としてどんどん応用され,今までの一般的な髄液検査法とされた細胞数,グロブリン反応,総蛋白量,膠質反応丈でなく,この髄液濾紙電気泳動法を行なうと,仲々面白いdataが得られ,主に脳神経疾患のそれぞれの,病態生理的な変動をキャッチする上に非常に役立つと思うので,未だ実施されたことのない臨床検査室でも是非気軽に試みて戴きたいと思つていた折から,この機会に髄液の濾紙電気泳動法の実際について述べて,実地にたずさわる方の御参考に供したいと考える。
前月号迄2回にわたつて複合蛋白分画法について説明し,阿部氏の3回に及ぶ血清蛋白分画法の実際についての解説に加えると一応これで血清についての濾紙電気泳動法はその大体の解説を終つたわけであるが,今回は更に追加として最近割合利用価値の認められて来た脳脊髄液(以下髄液と略す。)の濾紙電気泳動法について述べることとする。
血清濾紙電気泳動法はその臨床応用価値が広く認められて,我国では非常に普及してきているが,この髄液の濾紙電気泳動法については国内一部の,主として精神神経科ないしは内科の神経病学部門の研究室で利用されているのみで,どうも難かしいものという観念を抱いている向が少くないようであるが実際にやつて見ると非常に簡単にできて,特別な装置も要らず血清濾紙電気泳動を行つている臨床検査室ならどこでも,手軽に出来ると思われるので,既にこれは研究の段階は過ぎて,ルーティンの方法としてどんどん応用され,今までの一般的な髄液検査法とされた細胞数,グロブリン反応,総蛋白量,膠質反応丈でなく,この髄液濾紙電気泳動法を行なうと,仲々面白いdataが得られ,主に脳神経疾患のそれぞれの,病態生理的な変動をキャッチする上に非常に役立つと思うので,未だ実施されたことのない臨床検査室でも是非気軽に試みて戴きたいと思つていた折から,この機会に髄液の濾紙電気泳動法の実際について述べて,実地にたずさわる方の御参考に供したいと考える。
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