文献詳細
文献概要
今月の主題 認知症の動的神経病理 話題
内頸動脈狭窄症
著者: 今福一郎1
所属機関: 1横浜労災病院神経内科
ページ範囲:P.1175 - P.1177
文献購入ページに移動1.はじめに
内頸動脈狭窄は,頭蓋内,頭蓋外で生じうる.内頸動脈起始部狭窄は70%以上の狭窄は高度狭窄とされる.しかしこの狭窄が閉塞にいたったとしてもなんら症状を起こさないことも多い.時に片側内頸動脈が起始部で閉塞している患者さんに遭遇するが,自覚症状はなかったという患者さんもいる.つまり,無症候性の内頸動脈高度狭窄または閉塞がある.この理由は,ご存知のとおり,閉塞側の内頸動脈から頭蓋内で分枝するはずの前大脳動脈,中大脳動脈は,健側の内頸動脈から前交通動脈を介したバイパス,cross flowにより血流が維持されていることが多いからである.ではなんらかの症状を呈してくる,「症候性の」内頸動脈高度狭窄とはどのようなものか.主として2つの場合が考えられる.
1) 内頸動脈狭窄部位を塞栓源とするartery to artery embolismを生じた場合.
2) 前交通動脈や前大脳動脈が未発達でcross flowが期待できない場合.さらには,leptomeningial anastmosisなどの側副血行路の発達が悪い場合.
1)の場合は塞栓による閉塞血管支配域の神経症状が出現する.2)の場合は,バイパス,側副血行路の期待できない広範領域の脱落症状を呈しうる.本稿でとりあげるのは,2)の場合であり,さらに内頸動脈は完全閉塞でなく,高度狭窄により,主として血行力学性機序により症状を呈する場合である.この場合,症状が脳血管障害によるものであることが見逃され,漠然と「認知症」と診断されて治療・回復の可能性が考慮されないことになりかねない.内頸動脈起始部の高度狭窄は,狭窄度が極めて強いときには,頸動脈エコーや頭頸部MRAでも閉塞との区別が困難な場合があり,閉塞か高度狭窄かの診断や側副血行路の状態をみるためには脳血管撮影検査が必要となる.
内頸動脈狭窄は,頭蓋内,頭蓋外で生じうる.内頸動脈起始部狭窄は70%以上の狭窄は高度狭窄とされる.しかしこの狭窄が閉塞にいたったとしてもなんら症状を起こさないことも多い.時に片側内頸動脈が起始部で閉塞している患者さんに遭遇するが,自覚症状はなかったという患者さんもいる.つまり,無症候性の内頸動脈高度狭窄または閉塞がある.この理由は,ご存知のとおり,閉塞側の内頸動脈から頭蓋内で分枝するはずの前大脳動脈,中大脳動脈は,健側の内頸動脈から前交通動脈を介したバイパス,cross flowにより血流が維持されていることが多いからである.ではなんらかの症状を呈してくる,「症候性の」内頸動脈高度狭窄とはどのようなものか.主として2つの場合が考えられる.
1) 内頸動脈狭窄部位を塞栓源とするartery to artery embolismを生じた場合.
2) 前交通動脈や前大脳動脈が未発達でcross flowが期待できない場合.さらには,leptomeningial anastmosisなどの側副血行路の発達が悪い場合.
1)の場合は塞栓による閉塞血管支配域の神経症状が出現する.2)の場合は,バイパス,側副血行路の期待できない広範領域の脱落症状を呈しうる.本稿でとりあげるのは,2)の場合であり,さらに内頸動脈は完全閉塞でなく,高度狭窄により,主として血行力学性機序により症状を呈する場合である.この場合,症状が脳血管障害によるものであることが見逃され,漠然と「認知症」と診断されて治療・回復の可能性が考慮されないことになりかねない.内頸動脈起始部の高度狭窄は,狭窄度が極めて強いときには,頸動脈エコーや頭頸部MRAでも閉塞との区別が困難な場合があり,閉塞か高度狭窄かの診断や側副血行路の状態をみるためには脳血管撮影検査が必要となる.
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