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文献詳細

雑誌文献

臨床検査50巻10号

2006年10月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 法医学の遺伝子検査・10

遺伝子検査による親子鑑定

著者: 湯浅勲1 梅津和夫2 赤根敦3

所属機関: 1鳥取大学医学部法医学分野 2山形大学医学部法医病態診断学分野 3関西医科大学法医学講座

ページ範囲:P.1179 - P.1189

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はじめに

 親子鑑定とは何かといえば,これは「生物学的な親子関係があるかどうかを科学的に検査すること」であるといえよう.一般の親子鑑定は男と女と子の三人(トリオ)からその生物学的な親子関係を調べる.すでに当事者が死亡している場合,その周囲の人々から親子関係を推定する必要性があるが,これも法医学では親子鑑定と呼んでいる.検査材料は通常の親子鑑定で行われる血液や口腔細胞などの生体試料に限らず,遺骨などの遺物試料にも及ぶ.

 ヒトゲノムの中にある30億塩基対のDNAのなかで,個人間の相違は約0.07%といわれている.すなわち,任意に選び出した二人の間で,約200万塩基対が異なっていることになる.個人間で相違が認められる部分は変異があるといい,集団中にその変異の頻度が1%以上占めれば多型が存在するという.DNA多型には大きく分けて2種類ある.1つは塩基の配列が異なる単一塩基多型(SNP:本誌5月号参照)で,他方は一塩基以上の配列があったりなかったりする挿入欠失(indel)多型である.繰り返し配列による長さが異なる多型,すなわち,反復単位の個数が違う多型(VNTR多型やSTR多型:本誌3,4月号参照)もこれに分類できる.このような高い多様性とめざましく進歩した最近の技術や機器があれば,簡単に親子関係がわかると期待されるところである.しかしながら,遺伝子検査による親子鑑定は検査対象となるDNAから派生する特有な問題があるのも事実であり,重要なことはそのような効率性ばかりではない.①親子関係があるにもかかわらず否定する.②親子関係がないにもかかわらず肯定する.これら2つの誤謬をいかに減らすかが最も重要な問題である.また,医療の分野ではときおり双生児の卵性が問題になり,法医学教室は相談を受けることがある.卵性診断の原理も親子鑑定と本質的には同じである.本稿ではSTR多型を中心とした遺伝子検査による最近の親子鑑定法に加えて,卵性診断についても概略を述べる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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