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文献概要
今月の主題 海外旅行と臨床検査 総説
海外旅行前,旅行中,旅行後検査
著者: 溝尾朗1
所属機関: 1東京厚生年金病院内科
ページ範囲:P.1217 - P.1222
文献購入ページに移動 旅行医学を含め臨床診断では,病歴聴取で見当をつけた後,診察所見により絞り込み,最後に検査計画を立てるという流れがある.このなかで病歴の聴取が最も重要であるが,検査計画が杜撰では問題が解決しないことも多い1).検査技師の立場からも,検査の目的が不明なときや渡航先の情報が不足している場合,必要十分な検査ができないと聞く.限られた時間のなかで効率的に診断するためには,過不足ない問診と診察から検査計画を立て,医療従事者間において情報を共有することが求められる.一方,旅行医学のなかでは予防医学も重要なテーマであり,旅行前の検診や留学前の抗体検査,持病を抱える旅行者の適応検査などの一次予防や健康増進を目的とする旅行医学も存在する.本稿では,筆者が担当している旅行医学外来からの実例を紹介して,旅行医学における検査計画と予防医学の重要性について述べてみたい.〔臨床検査 50:1217-1222,2006〕
参考文献
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