文献詳細
文献概要
シリーズ最新医学講座 臓器移植・10
腎移植
著者: 尾本和也1 田邉一成1
所属機関: 1東京女子医科大学泌尿器科
ページ範囲:P.1127 - P.1134
文献購入ページに移動はじめに
腎不全,特に慢性腎不全に対する治療としての生体腎移植の進歩は,シクロスポリン,タクロリムスといったカルシニューリンインヒビターなどの免疫抑制剤の進歩によるところが大きいのは周知の事実である.例えば,移植医療が開始された30年前の時点では血液型不適合移植は禁忌であったが,現在は拒絶反応を抑制するための予防や対策を講じることで可能になってきている.このような進歩の一方で,移植医療には提供者(ドナー)が必要であることは生体腎移植の開始当初より変わりようのない事実で,健常者であるドナーについての選択や適応については詳細に検討する必要があり,安全に移植を行えるドナーとレシピエントを選択することが移植医療の治療の第一歩となる.また,移植後は拒絶反応の有無に注意し,常に血液検査や超音波検査にて状態をモニターしながら,拒絶反応が疑われた場合,速やかな治療が必要となってくる.本稿では生体腎移植の適応基準,移植手術の実際,移植後のフォローについてポイントを述べることとする.
腎不全,特に慢性腎不全に対する治療としての生体腎移植の進歩は,シクロスポリン,タクロリムスといったカルシニューリンインヒビターなどの免疫抑制剤の進歩によるところが大きいのは周知の事実である.例えば,移植医療が開始された30年前の時点では血液型不適合移植は禁忌であったが,現在は拒絶反応を抑制するための予防や対策を講じることで可能になってきている.このような進歩の一方で,移植医療には提供者(ドナー)が必要であることは生体腎移植の開始当初より変わりようのない事実で,健常者であるドナーについての選択や適応については詳細に検討する必要があり,安全に移植を行えるドナーとレシピエントを選択することが移植医療の治療の第一歩となる.また,移植後は拒絶反応の有無に注意し,常に血液検査や超音波検査にて状態をモニターしながら,拒絶反応が疑われた場合,速やかな治療が必要となってくる.本稿では生体腎移植の適応基準,移植手術の実際,移植後のフォローについてポイントを述べることとする.
参考文献
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