文献詳細
文献概要
海外文献紹介
Haemophilus influenzaeは好中球壊死を誘導する:慢性閉塞性肺疾患における役割
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.1045 - P.1045
文献購入ページに移動 非莢膜Haemophilus influenzaeは慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の気道で安定期と悪化期の両期に普通に見いだされている.また,COPD患者の痰には多数の好中球とエステラーゼのような好中球産生物も検出されている.なぜH. influenzaeが多数の侵潤好中球の存在下においてCOPD患者の肺に増殖するかは知られていない.著者らはH. influenzaeと好中球間の異状な相互作用がCOPD病理学に影響するかどうかを検討した.非莢膜H. influenzaeの臨床分離物は健康なボランティアからの好中球と生体外でインキュベートし,呼吸性バースト活性,サイトカインとケモカインの産生,細菌の貪食能と殺傷能および好中球のアポトーシスと壊死を測定した.H. influenzaeは好中球により貪食され,それにより呼吸性バーストおよび好中球走化性因子IL-8が活性化された.しかし,好中球自身は細菌を殺傷するというよりは壊死し,細胞外にそれらの顆粒成分を遊離した.H. influenzaeと好中球の相互作用の後で産生される,好中球由来のIL-8は肺へさらなる好中球の侵潤を引き起こし,それにより炎症性応答を増幅した.
掲載誌情報