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非糖尿病ボランティアにおける空腹時涙液グルコース濃度の質量分析法
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.1065 - P.1065
文献購入ページに移動 グルコースは涙液成分と認識されているが,その濃度や血液グルコース濃度との相関には不一致がいまだに見られる.文献による正常涙液グルコース濃度(メジアン)は0~9.1mmol/l(110~280μmol/l)の範囲にある.著者らは試料のサンプリング法と分析法を改良し,これらの不一致の解決を試みた.分析は質量分析装置を備えた液体クロマトグラフィを用い,被検者25人から得た涙液1μl中のグルコースを測定した.涙液はミクロキャピラリーと細隙灯顕微鏡を用いて採取した.空腹時涙液グルコースのメジアン(範囲)は28(7~161)μmol/lであった.各人の涙液グルコース測定の標準偏差は平均涙液グルコース濃度とともに比例的に変化し,概ね平均値の1/2であった.本研究で得られた涙液グルコース濃度は非糖尿病者について報告された値よりも低値であった.コンタクトレンズの使用者と非使用者間に涙液グルコース濃度の有意差はなかった.血液と涙液の空腹時グルコース濃度には,有意の相関(r=0.50)が認められた.本法は他の涙液成分の研究に応用でき,他の疾患の状態のモニタリングに役立つものと考えられた.
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