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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻10号

2007年10月発行

文献概要

海外文献紹介

ヒト赤血球コリンエステラーゼ活性の個人内安定性

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部

ページ範囲:P.1084 - P.1084

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 赤血球コリンエステラーゼ活性(RBC-ChE)の臨床測定は殺虫剤や神経剤のような抗コリン作用性の有機リン化合物への暴露の最も鋭敏な生物マーカーとして有用である.この酵素の個人間変動の特徴は極めてよく把握されているが,個人内変動の大きさについてはいまだに論争されている.個人内変動の正確な測定はRBC-ChEの測定頻度を確定するために極めて重要であり,著者らはこの点について検討するため,RBC-ChEの定期的な測定を要求される職場で働く男性46人を対象として回顧的にRBC-ChE活性の個人内変動を追跡した.RBC-ChE活性の測定は同一の検査所の技術者がpHメータ法により行った.対象とした労働者46人における平均就業期間は20年であった.RBC-ChE活性の平均値は0.77(範囲,0.59~0.99)delta pH units/hであり,その活性の平均標準偏差は0.03delta pH units/h(CV=3.9%)であった.各労働者のRBC-ChE活性と時間との関係は,回帰式の平均の傾きが0.0010delta pH units/h/yearであり,無視できる大きさであった.これらの結果は,RBC-ChE活性が長期にわたり安定であることと,RBC-ChE活性測定の適当な頻度に関する運用方法を明らかにした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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