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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻6号

2007年06月発行

文献概要

今月の主題 骨粗鬆症と臨床検査 話題

グルタミン酸と骨粗鬆症との意外な関係

著者: 森山芳則1

所属機関: 1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体膜機能生化学

ページ範囲:P.621 - P.625

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1.はじめに

 2006年秋,骨の恒常性にかかわる新しい制御機構に関する論文を発表した1).その内容を報じたTVや新聞記事,例えば,「グルタミン酸骨の溶解防ぐ(うま味だけじゃない)」(読売,2006年9月8日)をご記憶の方もいらっしゃると思う.この見出しにあるように,日本が世界に誇る調味料・昆布のうまみ成分であるグルタミン酸が骨消化を抑制していることを発見した.誤解されると困るのだが,グルタミン酸を調味料としてどんどん使うと骨粗鬆症が予防できるということではない.グルタミン酸が骨消化を抑制するシグナル伝達因子となっており,その抑制系が働かなくなると骨粗鬆症になってしまうということである.本稿では,グルタミン酸と骨粗鬆症との思いがけない関係について,その発見の経緯と概要について述べる.

参考文献

1) Morimoto R, Uehara S, Yatsushiro S, et al:Secretion of L-glutamate from osteoclasts through transcytosis. EMBO J 25:4175-4186, 2006
2) Moriyama Y, Yamamoto A:Glutamatergic chemical transmission:Look! Here, There, and Anywhere. J Biochem 135:155-163, 2004
3) Mason DJ:Glutamate signaling and its potential application to tissue engineering of bone. Eur Cell Mater 7:12-25, 2004
4) Juge N, Yoshida Y, Yatsushiro S, et al:Vesicular glutamate transporter contains two independent transport machineries. J Biol Chem 281:39499-39506, 2006
5) Nebsbitt SA, Horton MA:Trafficking of matrix collagens through bone-resorbing osteoclasts. Science 276:597-603, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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