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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻6号

2007年06月発行

文献概要

今月の主題 骨粗鬆症と臨床検査 話題

日常生活における骨粗鬆症と健康・食事

著者: 白石弘美12 久保宏隆2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属病院栄養部 2聖徳大学人文学部人間栄養学科

ページ範囲:P.631 - P.639

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1.はじめに

 骨粗鬆症の原因は,国民栄養調査からも栄養素の過不足が指摘されており1),日常生活での不適切な栄養摂取と,運動量の減少が危険因子とされている.骨粗鬆症の発症と合併症の骨折は,個人の社会生活におけるADL(activities of daily living:日常生活活動)とQOL(quality of life:生活の質)を著しく低下させることとなる.21世紀の日本人の平均寿命が世界一の長寿になるに及び,閉経後女性の余命の長期化に伴いADL・QOLの向上,維持には原発性骨粗鬆症(疾患を原因とした2次性骨粗鬆症以外)を予防する必要がある.

 この骨粗鬆症によって起こるQOLの低下を,各因子から評価する領域として,①身体面,②機能面,③社会面,④心理面など表12)にまとめたような評価領域の指標が挙げられる.特に骨粗鬆症ではADLの障害が,気分や気持ちに影響を与え,加齢とともに“うつ状態”に陥ることが少なくない.ここでは精神的・健康的な生活を送る目標として,表2に示した「健康日本21」の現状や骨粗鬆症予防のため,日本人の食事摂取基準3)にそった自己管理としての生活習慣全体を見直す栄養・食事管理について考えてみた.

参考文献

1) 平成16年度国民健康・栄養調査結果の概要:厚生労働省健康局総務課生活習慣対策室,平成18年5月発表
2) 白石弘美監修:骨粗しょう症の予防と改善に役立つ食べ物,同文書院,2003
3) 日本人の食事摂取基準(2005年版):厚生労働省健康局総務課生活習慣対策室栄養調査係,平成17年4月策定
4) 小山嵩夫:閉経後の骨量の変化,Juvela. Nwt Hpより,1993
5) Cohn SH, Vartsky D, Yasumura S, et al:Compartental body composition on total body nitrogen, potassium, calcium. Am J Physiol 239:E524-530, 1980
6) 杉山みち子:更年期の保健学―半健康と生活習慣の改善(細谷憲正監修),第一出版,pp129-139, 252-254, 1995
7) Bonjour JP:Protein intake, IGF-1 and osteoporosis. Osteoporos Int 7(Suppl 3):S36-S42, 1997
8) 佐々木敏,柳堀朗子:自記式食事歴法質問票を用いた簡便な個別栄養指導が栄養素摂取量の改善に及ぼす効果―地域における軽症高コレステロール血症者を対象とした健康教室の例.栄養学誌 56:327-338, 1998
9) 中村眞,白石弘美,内山幹,他:若年者の食事中n-3・n-6系多価不飽和脂肪酸量と炎症性長疾患の疫学的検討,厚生労働科学研究補助金特定疾患研究事業特定疾患の平成14年度分担研究報告書,pp132-134, 2003
10) 白石弘美:骨粗鬆症を防ぐ食事と生活(細井孝之監修),成美堂出版,2004
11) 上西一弘:骨粗鬆症治療生活療法・栄養指導.日本臨床 64:1682-1685, 2006
12) プライマリケア医の役割Part1骨粗鬆症:低骨密度は動脈硬化性疾患のリスクファクター,Japan Medicine Clinical & Management News No 1076, 2007.01
13) 吉川敏一,辻智子編集:The Doctor's Complete Guide To Alternative Medicines, 医療従事者のための機能性食品,pp200-207,講談社,2004
14) 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告「五訂増補食品成分表」2005年
15) Otsuka Academy of Vitamin Experts(OAVEX):大塚製薬ヘルスケア事業部,pp72-81, 2002
16) 高橋久仁子:情報とフードファディズム.臨床栄養 109:60-62,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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