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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻7号

2007年07月発行

文献概要

今月の主題 不整脈検査 総論

不整脈の電気生理学的発生機序

著者: 小野克重1

所属機関: 1大分大学医学部循環病態制御講座

ページ範囲:P.671 - P.676

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 不整脈が発生するかしないかには,遺伝や性などの先天的な素因に加えて,加齢,心筋血流の程度,血圧などの環境因子によって決定される.様々な環境因子に対して心臓が生理的に適応し,ネガティブフィードバックによって心筋細胞が安定した電気的興奮性を維持できれば,遺伝子プログラムによって正常心機能が発現し正常洞調律が維持される.一方,環境因子に対して適応が不適当な場合は病的プログラムの作動によって不整脈基質の形成が始まる.不整脈の発生は,不整脈基質の形成以前にさかのぼるメカニズムと不整脈基質の形成以後のメカニズムとの二つに大別される.不整脈基質の形成にかかわるメカニズムは不整脈治療の根幹にかかわる重要なポイントであるが現在までの研究では不明な箇所が多い.本稿では不整脈の発生機序を不整脈基質形成の上流と下流とに分けて概説する.

参考文献

1) Member of the Sicilian Gambit:The search for novel antiarrhythmic strategies. Jpn Circ J 62:633-648, 1998
2) Nattel S, Li D:Ionic remodeling in the heart. Circ Res 87:440-447, 2000
3) 小野克重:第2章 細胞膜電位と膜電流系.新不整脈学(杉本恒明監,井上博編),pp9-14,南江堂,2003
4) Kléber AG, Janse MJ, Fast VG:Normal and abnormal conduction in the heart. In:Handbook of Physiology, Section, 2. The Cardiovascular System, pp455-530, Oxford University Press, 2001
5) 池田隆徳:第11章 Spiral waveとリエントリー.新不整脈学(杉本恒明監,井上博編),pp106-114,南江堂,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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