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文献詳細

雑誌文献

臨床検査51巻7号

2007年07月発行

文献概要

シリーズ最新医学講座 臓器移植・7

臓器移植の検査

著者: 宮崎孔1 池田久實2

所属機関: 1北海道赤十字血液センター検査部 2北海道赤十字血液センター

ページ範囲:P.779 - P.787

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はじめに

 免疫の根幹部分である自己と非自己の認識には主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex;MHC)が重要な役割を果たしているが,その中心を担うのがヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)である.移植では患者の体内に異なる個体の組織が入るため,当然患者の免疫システムは移植片を排除しようと働く.これを防ぐ手段の一つとして有効なのは患者の免疫システムに移植片を患者自身のものであると認識させること,すなわち患者と移植ドナーのHLAを適合させることであり,実際にHLAの適合度が高いほど移植成績の向上がみられている1).したがって,患者と移植ドナーのHLAタイピングは特に造血幹細胞移植(骨髄移植,臍帯血移植,末梢血幹細胞移植など)では非常に重要であり,必要不可欠な検査となっている.一方,腎移植をはじめとする血管を介した臓器移植ではABO血液型の適合は優先されるものの,患者と移植ドナーのHLAは一致しない場合が多い.しかし,患者がドナーのHLA抗原に対する抗体を持つ場合は超急性拒絶反応が惹起されるため,患者のHLA抗体検査も重要な検査である.

 本稿では組織適合性試験の中心であるHLAタイピング,およびHLA抗体検査について解説する.

参考文献

1) 笹月健彦:非血縁者間骨髄移植におけるHLA遺伝子マッチングの影響.骨髄移植調査研究事業報告書(平成8年度),厚生省骨髄移植調査研究事業「HLA型適合に関する研究」,pp10-62,1996
2) Albrechtsen D, Bratlie A, Kiss E, et al:Significance of HLA matching in renal transplantation. A prospective one-center study of 485 transplants matched or mismatched for HLA-A, B, C, D, and DR antigens. Transplantation 28:280-284, 1979
3) Bodmer JG, Marsh SGE, Albert ED, et al:Nomenclature for factors of the HLA system, 1998. Tissue Antigen 53:407-446, 1999
4) 柏瀬貢一:HLAタイピング.検査と技術 34:1326-1330,2006
5) Terasaki PI, McCelland JD:Microdroplet assay of human serum cytotoxines. Nature 204:998-1000, 1964
6) 田中秀則:クラスI抗原の共通トレイ.MHC 4:155-168,1998
7) 柏瀬貢一:DNAマイクロアレイによるHLAジェノタイピング法の開発.臨床検査 49:530-538,2005
8) Terasaki PI, Cai J:Humoral theory of transplantation:Mechanism, prevention, and treatment. Hum Immunol 66:334-342, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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