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シリーズ最新医学講座 臓器移植・7
臓器移植の検査
著者: 宮崎孔1 池田久實2
所属機関: 1北海道赤十字血液センター検査部 2北海道赤十字血液センター
ページ範囲:P.779 - P.787
文献購入ページに移動免疫の根幹部分である自己と非自己の認識には主要組織適合性複合体(major histocompatibility complex;MHC)が重要な役割を果たしているが,その中心を担うのがヒト白血球抗原(human leukocyte antigen;HLA)である.移植では患者の体内に異なる個体の組織が入るため,当然患者の免疫システムは移植片を排除しようと働く.これを防ぐ手段の一つとして有効なのは患者の免疫システムに移植片を患者自身のものであると認識させること,すなわち患者と移植ドナーのHLAを適合させることであり,実際にHLAの適合度が高いほど移植成績の向上がみられている1).したがって,患者と移植ドナーのHLAタイピングは特に造血幹細胞移植(骨髄移植,臍帯血移植,末梢血幹細胞移植など)では非常に重要であり,必要不可欠な検査となっている.一方,腎移植をはじめとする血管を介した臓器移植ではABO血液型の適合は優先されるものの,患者と移植ドナーのHLAは一致しない場合が多い.しかし,患者がドナーのHLA抗原に対する抗体を持つ場合は超急性拒絶反応が惹起されるため,患者のHLA抗体検査も重要な検査である.
本稿では組織適合性試験の中心であるHLAタイピング,およびHLA抗体検査について解説する.
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