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生体内ヒト脂肪細胞への遊離脂肪酸の直接取り込み:体脂肪分布との関係
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学短期大学部
ページ範囲:P.1002 - P.1002
文献購入ページに移動 体脂肪分布は肥満関連疾患の重要な予測因子であり,内臓脂肪分布は血漿遊離脂肪酸(free fatty acid;FFA)の増加を招き,インスリン抵抗性や関連代謝合併症を引き起こす.著者らは脂肪細胞によるFFAの直接取り込みがヒトの生体内において起こるかどうかと,やせと肥満の男女間に取り込みの部位別差があるかどうかを検討した.実験では,放射性同位体標識FFAの一括注入を行い,注意深く時間ごとに脂肪組織の生検により正常体重および肥満の男女における部位別脂肪組織のFFAの直接および間接取り込みを測定した.FFAの直接取り込みは存在し,男性よりも女性のほうが大きかった.腹部皮下脂肪は男性においては大腿部皮下脂肪よりもFFAを活発に取り込んだが,女性では異なっていた.同様の性別と部位別の違いは肥満の男女においても存在することがわかった.FFA輸送体の遺伝子発現は男性では腹部脂肪のほうが大腿部脂肪よりも大きかったが,女性では異なっていた.ヒトでは,皮下脂肪への性別および部位別特異的なFFA再循環があり,これは体脂肪分布の展開および維持を担う,新しいFFA処理経路と考えられる.
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