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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻10号

2008年10月発行

文献概要

今月の主題 結核 トピックス

クオンティフェロンTB-2G(QFT)検査の意義

著者: 鈴木克洋1 露口一成2 吉田志緒美3 坂谷光則3

所属機関: 1NHO近畿中央胸部疾患センター・感染症研究部 2NHO近畿中央胸部疾患センター・感染症研究部感染症診断・治療研究室 3NHO近畿中央胸部疾患センター

ページ範囲:P.1139 - P.1143

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1.はじめに

 クオンティフェロンTB-2G(QFT)は,結核感染の有無を診断する検査法である.従来,結核の感染診断法としては,ツベルクリン反応のみであったが,BCGとの交差反応性のため,わが国では特異度があまりにも低く役立たないことが現在明らかになっている.QFTは後述する方法によりBCGとの交差反応性をなくすことで,特異度を大幅に改善している.QFT陽性者が結核菌に感染していることは間違いない.しかし,結核菌に感染していることが,病気としての結核と同一ではない点を理解しなければならない.QFTを用いるのは感染診断のためなのか,はたまた発病診断のためなのか,この点を明確に意識して結果を解釈する必要がある.

 本稿ではQFTの有効性を理解するために必要な結核の基礎知識,QFTの基本,感染診断と発病診断におけるQFTの有用性について,当院でのデータに文献的考察を加えて概説する.

参考文献

1) 鈴木克洋:結核の感染と発病.結核(泉 孝英監)医学書院,pp18-25, 2006
2) 財団法人結核予防会編:結核の統計2007,結核予防会,pp53, 2007
3) 日本結核病学会予防委員会,有限責任中間法人日本リウマチ学会:さらに積極的な化学予防の実施について.結核 79:747-748, 2004
4) Mori T, Sakatani M, Yamagishi F, et al:Specific detection of tuberculosis infection:an interferon-gamma-based assay using new antigens. Am J Respir Crit Care Med 170:59-64, 2004
5) 坂谷光則:結核院内感染対策とQFT.結核 83:33-37, 2008
6) 改正感染症法に基づく結核の接触者健康診断の手引きとその解説(石川信克監),結核予防会,2007
7) 大森正子:今村賞受賞記念講演 わが国における結核根絶年の予測.結核 69:575-579, 1994
8) QFTのQ & Aと使用指針の解説(森 亨監),結核予防会,pp31, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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