文献詳細
学会だより 第49回日本臨床細胞学会総会
細胞学・基礎と臨床の架け橋 「肺多形癌の細胞像」のワークショップに参加して
著者: 羽場礼次1
所属機関: 1香川大学医学部附属病院病理部
ページ範囲:P.1184 - P.1184
文献概要
肺の多形癌は高齢者に発生するまれな腫瘍で,その大部分は喫煙者です.非常に予後の悪い腫瘍で,化学療法や放射線療法が効きにくいことが特徴です.発生部位は肺上葉の末梢が多く,しばしば巨大な腫瘍を形成します.病理組織学的には,1999年のWHO分類(第3版)で初めて掲載された組織型で,紡錘細胞あるいは巨細胞を含む扁平上皮癌,腺癌,大細胞癌,あるいは紡錘細胞と巨細胞のみからなる腫瘍です.特に紡錘細胞や巨細胞などの肉腫様細胞が,10%以上を占める場合を多形癌と定義します.臨床像,病理組織像とも特徴的な所見があるにもかかわらず,細胞学的な報告は散発的で,今回ワークショップで議論されたことは大変意義深いと思われました.
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