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マクロファージ遊走阻止因子はLPS誘導アポトーシスに対する内皮細胞感受性を左右する
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.1143 - P.1143
文献購入ページに移動 ヒト内皮細胞(endothelial cell;EC)は肺疾患関連の刺激が誘導するアポトーシスに抵抗する.この抵抗性の決定因子は完全には解明されていない.マクロファージ遊走阻止因子(macrophage migration inhibitory factor;MIF)はヒト肺動脈EC(human pulmonary artery endothelial cell;HPAEC)によって産生される炎症性サイトカインであり,その発現はリポ多糖(lipopolysaccharide;LPS)を含む,種々の死誘導刺激に応答し増加する.著者らはRNAiによるMIF発現のサイレンシングが,MIF mRNA発現およびLPSによるMIF蛋白質の誘導増加を劇的に減少させることを明らかにした.組換えヒトMIF(rhMIF)蛋白質の添加はMIF siRNAのアポトーシス誘導を防いだ.ECのアポトーシス抵抗性の通常の媒介物はdeath effector domain-containing protein(FLIP)であり,LPSはFLIPのshort isoformの転写非依存的増加を誘導した.この増加はMIF siRNAにより妨害されたが,rhMIFの添加で復活された.FLIP siRNAもHPAECをLPS誘導アポトーシスに感作したが,rhMIFの添加はこの感作に影響を及ぼさなかった.MIFは炎症関連細胞ダメージから血管内皮細胞を保護する.
参考文献
Damico RL, Chesley A, Johnston L, et al:Macrophage migration inhibitory factor governs endothelial cell sensitivity to LPS-induced apoptosis. Am J Resp Cell Mol Biol 39:77-85, 2008
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