文献詳細
文献概要
特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 総論 1.ホルモンとは―産生,分泌,ホルモンレセプター,シグナル伝達
ホルモンとは―産生,分泌,ホルモンレセプター,シグナル伝達
著者: 栗原勲1 柴田洋孝1 伊藤裕1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部内科
ページ範囲:P.1097 - P.1102
文献購入ページに移動ホルモン(hormone)は,特定の内分泌腺から血液中に分泌され,血行によって遠隔の標的臓器に作用して特異的な作用を現す物質,と古典的には定義される.しかし,この定義に必ずしも合わないホルモン作用機構が次々と明らかにされるにつれ,もう少し広い概念として捉えられるようになってきている.
例えば視床下部ホルモンの場合,産生部位が神経由来の細胞であり,内分泌腺構造を持たない.このようにホルモン産生・分泌機能も担う神経細胞は,神経内分泌細胞(neuroendocrine cell)と総称される.また分泌様式にも多様性がみられる.膵ラ氏島から分泌されるソマトスタチンのように,血行を介さず組織間液を介して隣接する標的細胞に働きかけるホルモンも存在する.このような分泌様式は,血行を介する従来の分泌様式=内分泌(endocrine)に対し,傍分泌(paracrine)と呼ばれる.さらには,自らを標的とする自己分泌(autocrine)などの分泌様式も存在する(図1).
参考文献
掲載誌情報