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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 総論 3.ホルモンの検査

1) 標準化,精度管理

著者: 片山善章1

所属機関: 1神戸常盤大学保健科学部医療検査学科

ページ範囲:P.1109 - P.1118

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はじめに

 生体試料中の成分濃度で100m1中に数μgオーダー以下で存在する微量成分のホルモン,腫瘍マーカー,心筋マーカー,ウイルス抗原・抗体,薬物などに関する検査は免疫化学的に測定されている.その測定方法は世界的にみてもnon-RI法が中心となり,なかでも,最近はCLIA(chemiluminescence immunoassay),CLEIA(chemiluminescence enzyme immunoassay),FEIA(fluorescence enzyme immunoassay),ECLIA(electro chemiluminescence immunoassay)を測定原理として10機種ほど測定装置が利用されており,感度,精度の良さで主流を占めるようになってきた.したがって,参考正常値も若干異なっている.このことは外部精度管理調査(external quality assessment;EQA)を実施した場合の集計に考慮せざるを得ない条件となる.

 精度管理についてはIQC(内部精度管理;internal qua1ity control)とEQAがあるが,測定方法間,メーカー間,施設間の測定値誤差に関係があるのはEQAである.わが国では日本医師会,日本臨床衛生検査技師会が主催しているEQAや各地区,例えば大阪府医師会が主催しているEQAがあるが,ホルモン検査に関するEQAは日本ラジオアイソトープ協会(医学・薬学部会インビトロテスト専門委員会イムノアッセイ研究会)が「イムノアッセイ検査全国コントロールサーベイ(以後,イムノアッセイサーベイと略す)」を実施している.

 本稿では,まず酵素活性以外の臨床化学検査項目(本稿では代謝成分と表現する)に関するEQAにおける共通のキャリブレータの利用による施設間是正の実際について簡単に述べ,ホルモン検査の標準化については,イムノアッセイサーベイ成績報告の内容を参考にしてホルモン検査のEQAと標準化について言及したい.

参考文献

1) 片山善章:共通キャリブレータを用いる施設間差是正の実際.Medical Technology 20:1032-1038, 1992
2) 片山善章:酵素活性標準化の動向 酵素標準物質を用いる方法.臨床検査 37:499-505, 1993
3) 片山善章:標準化の基礎と実際 標準物資を利用した標準化のアプローチ. 3:11-18, 1999
4) 日本臨床化学会分析部会近畿支部:標準化に関する用語─特に測定法に関する用語.臨床化学 14(supp 1):23-28, 1985
5) 大澤進,深津俊明,永峰康孝,他:臨床検査学講座 検査管理総論,第3版,医歯薬出版,p79, 2006
6) 社団法人日本アイソトープ協会 医学・薬学部会インビトロテスト専門委員会 イムノアッセイ研究会:第28回イムノアッセイ検査 全国コントロールサーベイ成績報告要旨.Radioisotopes 56:637-686, 2007
7) 社団法人日本アイソトープ協会 医学・薬学部会インビトロテスト専門委員会イムノアッセイ研究会:第28回イムノアッセイ検査 全国コントロールサーベイ成績報告要旨.Radioisotopes 55:599-649, 2006
8) 立花克彦(主任研究者):成長ホルモン(GH)および関連因子の測定に関する研究.成長科学協会年報 27:11-19, 2003
9) 独立行政法人 新エネルギー・産業技循総合開発機構:平成17年度成果報告 知的基盤創成・利用促進研究開発事業 臨床検査用標準物質の開発,2006
10) 独立行政法人 新エネルギー・産業技循総合開発機構:平成18年度成果報告 知的基盤創成・利用促進研究開発事業 臨床検査用標準物質の開発,2007
11) 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構:平成19年度成果報告 知的基盤創成・利用促進研究開発事業臨床検査用標準物質の開発,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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