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特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 1.下垂体前葉
2) PRL
著者: 村井一郎1
所属機関: 1日本大学医学部医学研究企画・推進室
ページ範囲:P.1184 - P.1188
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下垂体前葉内ラクトトロフから合成・分泌されるプロラクチン(prolactin;PRL)は,哺乳類において乳腺の発達,乳汁分泌,黄体機能の調節,性行動への関与,浸透圧の調節,免疫機能の調節,血管新生などの広域な生理作用を有し,さらに前葉外組織で産生されるPRLの局所作用も報告されている1).このことからPRLを万能の物質および多岐にわたる物質としてomnipotin,versatilinと改名することも検討されている.基礎医学の視点からすればPRLは多くの謎に包まれたホルモンである一方,高PRL血症とこの原因となるプロラクチノーマについては臨床的に広く知られている.ここでは前葉PRLについて基礎・臨床医学の両側面から簡単に概説する.
下垂体前葉内ラクトトロフから合成・分泌されるプロラクチン(prolactin;PRL)は,哺乳類において乳腺の発達,乳汁分泌,黄体機能の調節,性行動への関与,浸透圧の調節,免疫機能の調節,血管新生などの広域な生理作用を有し,さらに前葉外組織で産生されるPRLの局所作用も報告されている1).このことからPRLを万能の物質および多岐にわたる物質としてomnipotin,versatilinと改名することも検討されている.基礎医学の視点からすればPRLは多くの謎に包まれたホルモンである一方,高PRL血症とこの原因となるプロラクチノーマについては臨床的に広く知られている.ここでは前葉PRLについて基礎・臨床医学の両側面から簡単に概説する.
参考文献
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