文献詳細
文献概要
特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 7.副腎
1) アルドステロン
著者: 西川哲男1 大村昌夫2 齋藤淳3
所属機関: 1(独)労働者健康福祉機構横浜労災病院 2(独)労働者健康福祉機構横浜労災病院内科・健康診断部 3(独)労働者健康福祉機構横浜労災病院内分泌・代謝内科
ページ範囲:P.1243 - P.1247
文献購入ページに移動血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration;PAC)あるいは,尿中アルドステロン排泄量の測定により副腎球状層機能を判定できる.アルドステロン(aldosterone)は水電解質代謝を調節している.すなわち,高血圧や心血管危険因子として重要なホルモンである.一方,最近の話題は原発性アルドステロン症が高血圧の中に数多く潜んでいて,高頻度に存在する点である.われわれは,1994~1999年の5年間未治療の高血圧症例1,020例を対象として,ベッド上で30分間以上安静臥床後採血し,血漿レニン活性(plasma renin activity;PRA)の測定を行った.PRAが1.0ng/ml/時未満かつPACが12.0ng/dl以上の場合,原発性アルドステロン症(primary aldosteronism)を疑い精査した.最終的には65例(6.4%)が原発性アルドステロン症と確定診断した1).したがって以前考えられているものより,原発性アルドステロン症の頻度は極めて高い疾患と思われる.高血圧診療で初診時にホルモン検索をルーチン化して二次性高血圧症のスクリンーニングをする必要性が高い.
本稿ではアルドステロンの産生調節,作用機構,病態への関与,さらには,臨床検査ならびに診断法などにつき概説する.
参考文献
掲載誌情報