文献詳細
文献概要
特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査 7.副腎
2) グルココルチコイド
著者: 岡部泰二郎1 柳瀬敏彦1 高柳涼一1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態制御内科
ページ範囲:P.1248 - P.1251
文献購入ページに移動ヒトのグルココルチコイドはコルチゾールであり図1のような構造をしている.コレステロールを原料にして合成される.ステロイド核の3位の炭素(C-3)とC-20にケト基,C-11,C-17,C-21に水酸基が結合しており,C-4とC-5の間が二重結合になっている.
コルチゾールは主として副腎皮質束状層において合成されるが,その合成分泌は下垂体副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH)により促進的調整を受ける.副腎皮質からのコルチゾールの分泌は視床下部-下垂体-副腎皮質系により巧妙に調節されている.すなわち下垂体のACTH分泌は視床下部のコルチコトロピン放出因子(corticotropin-releasing factor;CRF)により刺激され,副腎皮質からのコルチゾール分泌はACTHにより促進される.また,コルチゾールはネガティブフィードバック機構によりCRFおよびACTHの分泌を抑制的に調節している.さらに視床下部は上位の大脳中枢および大脳辺緑系の調節を受け,その影響を受けてACTH-コルチゾール系の日内変動やストレス時などの反応機構を形成する.正常人において通常24時間に分泌されるコルチゾールは20mg程度とされ,強力なストレス下では100~300mg程度に増加する.
参考文献
掲載誌情報