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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 コラム

サイログロブリン遺伝子異常と甲状腺腫

著者: 菱沼昭1 家入蒼生夫1

所属機関: 1獨協医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.1183 - P.1183

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 サイログロブリン(Tg)遺伝子異常というと,重症の機能低下症と考えられがちであるが,必ずしもそうではない.諸外国では重症例の報告が多いが,日本では軽症例が多い.特に,マススクリーニング開始前の1979年以前の出生例では,原因不明の腺腫様甲状腺腫として診断されている.甲状腺機能は正常~軽度機能低下である.1979年以降の出生例では約3/4の症例がマススクリーニングで発見されているが,約半数は機能低下が軽度のため,治療は中断されているか,全く治療は受けていない.日本で軽症例が多い原因はヨード摂取が十分でホルモン合成障害を補っていると推測される.

 Tg遺伝子異常による甲状腺腫は,若年期より存在する軟らかい甲状腺腫で,血流は豊富である.これらは他のホルモン合成異常症と共通する特長であるが,さらに,ヨード摂取率が高値で,有機化障害がなく,血清Tg値は甲状腺腫が大きいわりには低値である場合,Tg遺伝子異常を疑う.後者の機序は,異常Tgは細胞内を正常に輸送されず,小胞体に蓄積するためである(小胞体貯蔵病).したがって,組織的には濾胞内にコロイドが欠乏している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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