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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 コラム

男性更年期障害

著者: 伊藤直樹1

所属機関: 1NTT東日本札幌病院泌尿器科

ページ範囲:P.1294 - P.1294

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 男性更年期障害はうつ,いらいら,神経質といった精神・心理症状,ほてり,発汗,関節痛,筋力低下などの身体症状,性欲低下,勃起力低下などの性機能症状と様々な症状を呈する症候群である.女性の更年期障害と異なり,全例で血中テストステロンが低下するわけではなく,そのなかで血中男性ホルモンが低下している症例をLOH(late-onset hypogonadism:加齢男性性腺機能不全)症候群として男性ホルモン補充療法の対象としている.すなわちLOH症候群は「男性ホルモンの低下に起因する症候群であり,特有の症状を呈する」と定義される.

 LOH症候群の診断基準として欧米では血中総テストステロン値が用いられ231~346ng/dlあたりをボーダーラインとしているが,本邦では血中遊離テストステロン値を指標として,20歳代健常男性のmean-2SD値である8.5pg/mlを下回り,前述したような症状を有する場合LOH症候群と診断している.実際,最近の大規模な疫学研究により,血中テストステロン低下が肥満,筋肉量低下,骨密度低下,認知力低下,気分障害,心血管系疾患,QOLの低下,性機能障害などと関連することが明らかとされつつある.テストステロンの低下がメタボリックシンドロームのリスクファクターであることも認められている.さらに,テストステロンの低下と癌罹患率の上昇や死亡率の上昇との関係まで報告され,テストステロンの重要性が再認識されはじめている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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