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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 コラム

脳内ナトリウム利尿ペプチドと発熱

著者: 渡邊達生1

所属機関: 1鳥取大学医学部統合生理学分野

ページ範囲:P.1317 - P.1317

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 血圧低下やナトリウム利尿を起こすホルモンとして,心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)が知られている.一方,細菌性内毒素は発熱性サイトカインの産生を刺激して発熱を引き起こすものと理解されている.

 近年われわれは,脳内のナトリウム利尿ペプチドとその受容体が細菌性内毒素による発熱と,発熱性サイトカインの産生を抑制している事実を発見した1).具体的には,細菌性内毒素の静脈内投与による3相性発熱の3相目は,ナトリウム利尿ペプチド受容体拮抗薬の脳室内投与により有意に増強した.ANPを脳室内に投与すると,細菌性内毒素による発熱の3相目は有意に抑制された.したがって,脳内のナトリウム利尿ペプチドは細菌性内毒素による発熱性サイトカイン産生を抑制して,発熱を抑制しているものと推察される.

参考文献

1) Miyoshi M, Kitagawa Y, Imoto T, et al:Effect of natriuretic peptide receptor antagonist on lipopolysaccharide-induced fever in rats. Is natriuretic peptide an endogenous antipyretic? J Pharmacol Exp Ther 318:1163-1170, 2006
2) Moriyama N, Taniguchi M, Miyano K, et al:ANP inhibits LPS-induced stimulation of rat microglial cells by suppressing NF-κB and AP-1 activations. Biochem Biophys Res Commun 350:322-328, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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