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特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 各論Ⅱ 多臓器,組織におけるホルモン相互間作用
2.レニン-アンジオテンシンシステム
著者: 吉本貴宣1 平田結喜緒1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学(内分泌・糖尿病・代謝内科)
ページ範囲:P.1326 - P.1329
文献購入ページに移動レニン-アンジオテンシンシステム(renin-angiotensin system;RAS)は水・電解質代謝,循環血液量および血圧・血行動態維持などの多彩な機能を担う重要な内分泌系である1).腎臓の傍糸球体細胞から分泌されたレニンにより,主に肝臓で産生された循環血中のアンジオテンシノーゲンがアンジオテンシン(Ang)Ⅰに,さらに肺血管床や血漿中に存在するAng変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)により生理活性AngⅡにプロセッシングされる(図1).AngⅡは心,血管,腎,中枢神経系,など広く分布するAngⅡ受容体(主としてAT1受容体)に作用し血管収縮,水・Na再吸収,交感神経刺激作用,食塩摂取行動を刺激する.AngⅡは副腎皮質球状層に作用し,ミネラロコルチコイドであるアルドステロン(aldosterone;Aldo)の合成・分泌を刺激し,Aldoを介して腎集合尿細管での水・Na再吸収およびK排泄作用に作用する1).すなわち内分泌系としてのRASはAngⅡに加えAldoの作用により全身性レニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステム(renin-angiotensin-aldosterone system;RAAS)を形成する.全身性RAASに加え,最近では,心血管系に代表される局所でAngⅡが産生され,オートクリン・パラクリンとして作用する局所RASという概念も確立し2,3),心血管疾患を含めた臓器障害の発症・進展に関与することもわかりつつある.本稿では主に全身性RASの動態と病態生理について臨床的に重要である血漿レニン活性(plasma renin activity;PRA)と血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration;PAC)を解説する.
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