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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻11号

2008年10月発行

文献概要

特集 ホルモンの病態異常と臨床検査 各論Ⅱ 多臓器,組織におけるホルモン相互間作用

2.レニン-アンジオテンシンシステム

著者: 吉本貴宣1 平田結喜緒1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学(内分泌・糖尿病・代謝内科)

ページ範囲:P.1326 - P.1329

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はじめに

 レニン-アンジオテンシンシステム(renin-angiotensin system;RAS)は水・電解質代謝,循環血液量および血圧・血行動態維持などの多彩な機能を担う重要な内分泌系である1).腎臓の傍糸球体細胞から分泌されたレニンにより,主に肝臓で産生された循環血中のアンジオテンシノーゲンがアンジオテンシン(Ang)Ⅰに,さらに肺血管床や血漿中に存在するAng変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)により生理活性AngⅡにプロセッシングされる(図1).AngⅡは心,血管,腎,中枢神経系,など広く分布するAngⅡ受容体(主としてAT1受容体)に作用し血管収縮,水・Na再吸収,交感神経刺激作用,食塩摂取行動を刺激する.AngⅡは副腎皮質球状層に作用し,ミネラロコルチコイドであるアルドステロン(aldosterone;Aldo)の合成・分泌を刺激し,Aldoを介して腎集合尿細管での水・Na再吸収およびK排泄作用に作用する1).すなわち内分泌系としてのRASはAngⅡに加えAldoの作用により全身性レニン-アンジオテンシン-アルドステロンシステム(renin-angiotensin-aldosterone system;RAAS)を形成する.全身性RAASに加え,最近では,心血管系に代表される局所でAngⅡが産生され,オートクリン・パラクリンとして作用する局所RASという概念も確立し2,3),心血管疾患を含めた臓器障害の発症・進展に関与することもわかりつつある.本稿では主に全身性RASの動態と病態生理について臨床的に重要である血漿レニン活性(plasma renin activity;PRA)と血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration;PAC)を解説する.

参考文献

ed (Braunwald E, Fauci AD, Kasper D, et al, eds), McGraw-Hill, New York, pp2087-2089, 2001
2) 吉本貴宣,平田結喜緒:昇圧性内分泌因子の最近の動向―特にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系やインスリン抵抗性を中心に.ホルモンと臨床 52:393-399, 2004
3) Dzau VJ:Local expression and pathophysiological role of renin-angiotensin in the blood vessels and heart. Basic Res Cardiol 88(Suppl 1):1-14, 1993
4) 吉本貴宣,平田結喜緒:心血管障害におけるアルドステロンの病態生理学的意義.血管 29:47-55, 2006
5) Young WF:Primary aldosteronism:renaissance of a syndrome. Clin Endocrinol 66:607-18, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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