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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻12号

2008年11月発行

文献概要

今月の主題 平衡機能検査 巻頭言

眼振の観察と記録・分析の歴史

著者: 加我君孝1

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター・感覚器センター

ページ範囲:P.1387 - P.1388

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1.眼振の発見

 眼振の英語名のnystagmusは,ギリシャ語のnystazenで,英語のnodを意味する.nod,すなわち“うなづく”というのは,居眠りをしているとコックリするが,眼振をコックリすることに例えたのであろう.このnystagmusという現象をはじめて述べたのは2,500年前に活躍したギリシャのヒポクラテスであった.わが国で最も古い記録は平安時代末期(10世紀)の「病草紙」の中に描かれているもので,碁をさしている男の眼が揺れているのを2人の若い女性が見て笑っている絵である.右顔面麻痺を伴っているので右の内耳障害によるものであろう.ただし“眼振”という漢字の述語はいつ頃から使われたのであろうか.

 三半規管を障害させると眼振とバランスの障害が生じることを示したのは19世紀初頭のフランスの生理学者,フルーランであった.回転眼振や電気刺激によって生じる眼振に興味を持ったのはチェコのプルキンエであった.しかし,その機序は20世紀になって解明された.

参考文献

1) Kornhuber HH:中枢前庭系の生理と臨床.神経耳科学(坂田英治他訳)医歯薬出版,1973
2) 加我君孝:めまいの構造,第2版,金原出版,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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