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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻12号

2008年11月発行

文献概要

今月の主題 平衡機能検査 平衡機能の検査

4.視刺激検査―1) 視標追跡検査

著者: 中村正1

所属機関: 1なかむら耳鼻咽喉科クリニック

ページ範囲:P.1450 - P.1454

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 視刺激検査のなかで視標追跡検査(eye tracking test;ETT)は比較的簡便な検査であり,中枢性疾患を診断するための検査法として一般臨床の場でよく利用されている.本検査において視標刺激を与える方法としては,用手的な刺激方法から投影式の大型の装置を使用する方法まで様々なものがある.用手的な方法では検者の指を左右にゆっくりと動かし被験者に指先を固視するように指示し,眼球運動が滑らかに動くかどうかを評価する.一方,定量的に評価するためにはスクリーンに光源を投影する大型の刺激装置を使用し,眼球運動を電気眼振図検査装置で記録し解析する.眼球運動速度波形においてスパイク波形が規則的に認められれば異常所見と評価する.異常所見は主に後頭蓋窩疾患に認められ,左右どちらかの方向に対して片側性の異常所見が認められた場合,その病巣も片側性である.通常,末梢前庭障害では視標追跡検査の異常は認められない.ただし,末梢前庭障害の急性期で強い自発眼振を持つ症例では一見片側性の異常所見を呈することがある.これは強い眼振が眼球運動に影響を与えるために起こる見かけ上の異常所見であり,その評価には注意が必要である.

参考文献

1) 中村正:視標追跡検査.耳鼻咽喉科診療プラクティス(池田勝久,加我君孝,岸本誠司,他編),文光堂,pp187-191, 2001
2) 平衡機能検査法基準化のための資料―1987年平衡機能検査法基準化委員会答申書,及び英文項目.Equilibrium Res 11(Suppl):1-26, 1995
3) 中村正:追跡眼球運動検査,視運動性眼振検査,視運動性後眼振検査.新図説耳鼻咽喉科・頭頸部外科講座(八木聰明編),pp158-161,メジカルビュー,2000
4) 中村正:ENG検査(OKN, OKAN, ETTを含む).耳鼻咽喉科・頭頸部外科 75:171-179,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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