臨床検査52巻12号

2008年11月発行

今月の主題 平衡機能検査

平衡機能の検査

5．姿勢の分析―2) 歩行解析

著者： 國見ゆみ子¹ 伊藤裕之²

所属機関： ¹神奈川県総合リハビリテーションセンター研究部 ²神奈川県リハビリテーション病院耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.1471 - P.1476

文献概要

　一般の臨床歩行分析における歩行動作相と歩行パラメータ，計測装置の概略について解説した．平衡機能障害患者の歩行計測で得られた床反力ならびに矢状面下肢関節角度パラメータ，ならびに足部位置と重心変動の俯瞰図を健常者と対比して図示，解説するとともに，一部パラメータの健常差を解説した．また，歩行中の下肢筋電図を，めまいの有無で提示し，平衡機能障害があると歩行が蹣跚となり歩行パラメータの変動係数も大きくなることを紹介した．

参考文献

1) 森茂美：歩行(身体平衡維持における反射の統合)．臨床耳鼻咽喉科頭頸部外科全書5Aめまい・平衡失調，金原出版，pp175-193，1986

2) 長谷公隆：片麻痺患者の病態と歩行分析．総合リハ34：125-131，2006

3) 時田喬，高木恭也，松原茂規，他：迷路障害例の歩行障害．Equilibrium Res Suppl. 3：142-148, 1988

4) 江戸雅孝：平衡障害患者の歩行分析．Akita J Med 24：223-233, 1997

5) Giannini S, Catani F, Benedetti MG, et al：Gait Analysis, ISO Press for BTS, pp66-70, 1994

6) 山崎信寿編：歩行周期(足と歩行，時間・距離因子)．足の事典，朝倉書店，p122，1999

7) Götz-Neumann K(月城慶一，山本澄子訳)：観察による歩行分析-筋活動とバイオメカニクス．総合リハ　34：107-116，2006

8) 加藤浩，高杉紳一郎：障害のなかでの歩行分析．PTジャーナル　34：201-210，2000

9) 臨床歩行分析懇談会編：臨床歩行分析入門，医歯薬出版，1989

10) 国見ゆみ子，江原義弘，別府政敏，他：画像処理による生体力学定数の測定．第9回バイオメカニズム学術講演会予稿集，pp123-126，1988

11) 大橋正洋，江原義弘，高橋茂，他：股離断者の残存肢各筋群の歩行エネルギー消費量―力学的モデル計算法による解析．総合リハ　36：165-170，2008

12) Earhart GM, Bastian A J：Cerebellar gait ataxia：selection and coordination of human locomotor forms following cerebellar damage. J Neurophysiol　85：759-769, 2001

13) 野崎大地：静止立位中の身体動揺データから時間的・空間的パターンを抽出する．リハビリテーション医学　42：325-333，2005

14) 中澤公孝，上林清孝，中島剛：直立二足歩行中の皮質脊髄路興奮性．臨床脳波　50(3)：125-132，2008