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文献概要
シリーズ最新医学講座・Ⅱ 臨床検査用に開発された分析法および試薬・3
合成基質を用いた血中プラスミノーゲン,アンチプラスミンなど凝固制御・線溶系の測定法
著者: 森美貴1 和田英夫2
所属機関: 1三重県赤十字血液センター 2三重大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.349 - P.354
文献購入ページに移動血液は全身の臓器に循環しながら,酸素や栄養素を運搬しており,ひとたび出血または血管内皮細胞損傷などが起こると,障害部位で血小板ならびに外因系凝固が活性化される.凝固機転が働くと同時に,障害部位以外の血栓形成を制御するための凝固制御反応,ならびに血管内血栓を溶解させるための線溶系も働き始める.このようにして,生体内の止血機構は血小板系,凝固系,凝固制御系,線溶系が巧妙に調整しあい,血管内での血液の恒常性を維持している.
血液の流動性を保つ抗血栓機序として,血管内皮細胞と血液凝固制御因子,線溶因子の果たす役割は大きい.これらのバランスが崩れると,出血傾向や血栓症が発症するため,種々の止血分子マーカーの測定が行われ臨床に応用されている.一般に,これらの測定法には,凝固時間法,酵素抗体法,合成基質法などがある.
現在,合成基質法で測定する代表的な凝固制御因子には,アンチトロンビン(antithrombin;AT),プロテインC(protein C;PC)があり,線溶系ではプラスミノーゲン(plasminogen;PLG),線溶抑制因子であるα2-プラスミンインヒビター(α2-plasmin inhibitor;α2-PI)などがある.それぞれの,測定法ならびに測定意義について述べたい.
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