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遊離脂肪酸とインスリンは1型糖尿病者の心筋の基質代謝を調節する
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.495 - P.495
文献購入ページに移動 正常者の心筋層は血漿基質レベルおよびホンモン環境に適合して基質代謝の優先順位を変化させるが,1型糖尿病の心筋層はエネルギーを遊離脂肪酸(free fatty acid;FFA)代謝に強く依存している.非糖尿病者における心筋のグルコース(Glu)利用とFFAの利用,酸化および貯蔵に影響する条件が1型糖尿病においてこれらの状態を変化させるかどうかは不明である.著者らは1型糖尿病者の心筋GluおよびFFA代謝が血漿FFAおよびインスリン(Insu)レベルの変化により操作されるという仮説を試験するために,PET(positron emission tomography)を用いて非糖尿病者および1型糖尿病者3グループの心筋酸素消費,GluおよびFFA代謝を測定した.1型糖尿病者は対照者よりも酸素消費が高く,心筋Glu利用速度/Insuが低かった.また,Glu利用は血漿Insuの増加およびFFAの減少とともに増加した.心筋のFFA利用,酸化およびエステル化速度は血漿FFAの増加とともに増加した.血漿Insuの増加は心筋FFAのエステル化速度を低下させたが,エステル化FFAの割合(%)を増加させた.
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