文献詳細
文献概要
今月の主題 アスベストと中皮腫 巻頭言
アスベストによる健康被害
著者: 井内康輝1
所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学
ページ範囲:P.957 - P.958
文献購入ページに移動 アスベスト(石綿)は,エジプトなどの紀元前の遺物の中からも見いだされ,わが国でも平安時代の書物“竹取物語”にも出てくるなど,古くから人々の生活の中で使われてきた.近代に至り,欧米では1900年代初頭からその使用量は増加したが,日本では第二次世界大戦後の経済復興・成長とともにその輸入量が急増した.1974年には約35万トンという最高の輸入量を記録するに至り,日本における現在までの輸入総量は1,000万トンを越え,この量は全世界の使用量の約18%に相当する.
一方で,この繊維状鉱物の発癌性については,1972年WHOによってClass Ⅰの発がん物質とされ,これによって欧米では急速にその使用が禁止される措置がなされた.しかし,日本においては,工業分野に広く使用されている状況を直ちに禁止することは難しく,2004年に至ってクリソタイルを含むアスベストの使用の大幅な制限がなされたものの,欧米に比べ対応は20~30年遅れたのである.
一方で,この繊維状鉱物の発癌性については,1972年WHOによってClass Ⅰの発がん物質とされ,これによって欧米では急速にその使用が禁止される措置がなされた.しかし,日本においては,工業分野に広く使用されている状況を直ちに禁止することは難しく,2004年に至ってクリソタイルを含むアスベストの使用の大幅な制限がなされたものの,欧米に比べ対応は20~30年遅れたのである.
掲載誌情報