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文献詳細

雑誌文献

臨床検査52巻9号

2008年09月発行

文献概要

今月の表紙 臨床微生物検査・9

髄膜炎菌

著者: 加來浩器1

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野

ページ範囲:P.952 - P.955

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 髄膜炎菌(Neisseria meningitides)は,淋菌(Neisseria gonorrhoeae)とともにグラム陰性双球菌であるナイセリアに属している.直径は0.6~0.8μmで,形態的には腎形ないしソラマメ形の球菌が2個並列した形をとっており,運動性はない(図1).

 菌体表面には,線毛と莢膜を有している.線毛は,粘膜上皮細胞への定着に必要であるが,抗原変異を起こすことで免疫反応から逃れる働きを有する.莢膜は,好中球による貪食抵抗性に関係があり,新鮮分離株では観察しにくいが,抗血清の存在下で膨化反応を起こし確認しやすくなる.本菌は,この莢膜多糖体に対する抗原性の違いを利用して,本菌を13種(A,B,C,D,X,Y,Z,E,W-135,H,I,K,L)の血清型に分類されている1).臨床分離株の大部分は,A,B,C,Y,W-135の5群が占めていると言われている.A群は,アフリカ,アジア,ブラジル等において流行している株である.アフリカのサブサハラ地帯には,乾季(12月から6月)に髄膜炎菌感染症が流行する髄膜炎ベルト(meningitis belts)と言われている地域がある(図2).B群は米国,欧州,オーストラリアで,C群は米国,欧州,オーストラリアで優位な株である.W-135群は,メッカへの巡礼に関連した株として有名だが,近年では上記の髄膜炎ベルトでも確認されている2)

参考文献

1) 高橋英之:感染症の話,髄膜炎菌性髄膜炎.感染症発生動向調査週報7(20):17-20,2005
2) 加來浩器:流行性髄膜炎菌感染症.感染制御2:362-336,2006
, 1998
4) 吉田眞一,柳雄介(編):2.髄膜炎菌,戸田新細菌学 改定32版,pp496-498,南山堂,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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