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ヒトにおける血清FGF21レベルは肥満で増加し,単独でメタボリック症候群と関係する
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.1007 - P.1007
文献購入ページに移動 FGF21(fibroblast growth factor 21)は,動物モデルにおいてグルコース恒常性とインスリン感受性に幾多の有益な作用を示す代謝調節体である.著者らはヒトにおけるこの物質の血清濃度と,種々の心臓代謝パラメータとの関係について検討した.FGF21は開発された新規の免疫法により測定し,この物質の肝および脂肪組織におけるmRNA発現レベルをreal-time PCR法により測定した.過剰体重/肥満者のFGF21濃度は,やせた者よりも有意に増加していた.血清FGF21は年齢およびBMIの調整後には脂肪蓄積,空腹時インスリンおよびトリグリセライドと正相関していたが,HDLコレステロールとは負相関していた.ロジスティック回帰分析では,血清FGF21とメタボリック症候群との関係が見いだされた.さらに,血清FGF21増加と関係するメタボリック症候群の危険率増加はメタボリック症候群の個々の成分の影響を超えていた.db/dbマウスでは,FGF21のmRNA発現は肝および脂肪組織において著しく増加していた.ヒトでは皮下脂肪のFGF21発現はその血清濃度とよく相関していた.
参考文献
Zhang X, Yeung DCY, Karpisek M, et al:Serum FGF21 levels are increased in obesity and are independently associated with the metabolic syndrome in humans. Diabetes 57:1246-1253, 2008
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