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全血中のチアミンおよびそのリン酸エステルの迅速HPLC測定法
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部
ページ範囲:P.1049 - P.1049
文献購入ページに移動 チアミン(ビタミンB1 )欠乏は脚気やウェルニッケ脳疾患のような疾患と関係する.ほとんどの米国人はこの物質を十分に食物摂取しているが,チアミン欠乏はアルコール依存者および年配者で観察される.全血中のチアミン濃度の測定は,その欠乏危険者におけるチアミン状態の把握に役立つ.著者らは,全血中のチアミンおよびそのリン酸エステルを迅速に測定するHPLC法を開発した.この方法では,全血中の蛋白質をトリクロロ酢酸で沈殿させ,チアミンおよびそのリン酸エステルをフェリシアン化カリウムを用いてチオクロムに誘導化し,それらを逆相HPLCカラムを用いた濃度勾配溶出法により分離し,蛍光法により検出した.この方法は直線範囲4,000nmol/l ,検出限界3nmol/l であり,現在使用中の従来法と相関が認められた.全血中の総チアミン量のおおよそ90%はチアミンジリン酸として存在していた.ビタミン補助剤を服用していない自己申告健康成人集団(43人,平均年齢34歳)の平均値(範囲)は,チアミンジリン酸が114(70~179)nmol/l ,総チアミンが125(75~194)nmol/l であった.全血中の遊離チアミンとチアミンリン酸エステルの分離および測定の結果は5.5分以内で得られた.
参考文献
Lu J, Frank EL:Rapid HPLC measurement of thiamine and its phosphate esters in whole blood. Clin Chem 54:901-906, 2008
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