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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 総論 4.施設内感染に関連する微生物

3) ウイルス

著者: 中山哲夫1

所属機関: 1北里生命科学研究所ウイルス感染制御Ⅰ感染制御科学府

ページ範囲:P.1269 - P.1274

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ウイルスの分類

 微生物が発見され多くの疾患は微生物が感染することで発症することが明らかとなったのは19世紀になってからである.患者から得られた血液,咽頭拭い液を実験的に感染させると発症することから感染性疾患であることがわかっても顕微鏡下で細菌が検出できず,また培養もできず,素焼きの濾過器で濾過した後の検体でも感染することから濾過性病原体の存在が知られてきた.タバコの葉に感染し枯れさせるタバコモザイクウイルスが結晶化されウイルスが生命体なのか議論されてきたが,細菌,真菌とは異なり培地で増殖はできず細胞に感染することで自己保存できる生命体で,分子生物学的研究が進みウイルスは「生命反応を有する高分子集合体」として捉えることができる.

 ウイルスの発見当初は電子顕微鏡により,ウイルスの大きさにより大型,中型,小型ウイルス,その形態から球形,正20面体,スパイクの有無,外殻蛋白(エンベロープ)の有無などの形態から分類されていた1).タバコモザイクウイルスの結晶は蛋白で構成され蛋白により感染し増殖すると考えられていたが,結晶中の5%を占める核酸が感染にかかわる物質であることがわかり,核酸の性状によりRNAを遺伝子として持っているウイルスとDNAを持っているウイルスに大別され表1に示した.ウイルスの分類の根拠となる基準は

 ①形態:ウイルス粒子のかたち,大きさ,エンベロープの有無

 ②物理学的性状:ゲノムの性状,安定性

 ③構成蛋白の種類と機能

 ④転写・翻訳の特徴

 ⑤増殖の仕方,宿主動物域

 である.

参考文献

1) Condit RC:Principles of Virology 2. In:Fields Virology(Knipe DM, Howley PM, ed), Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, pp25-57, 2007
2) Fujino M, Yoshida N, Kimura K, et al:Development of a new neutralization test for measles virus. J Virol Methods 142:15-20, 2007
3) 多屋馨子:特集 予防接種Q & A風疹-抗体価が低い場合.小児内科 39:1750-1751,2007
4) Nakayama T, Urano T, Osano M, et al:Evaluation of live trivalent vaccine of measle AIK-C strain, mumps Hoshino strain and rubella Takahashi strain, by virus-specific interferon-γ production and antibody response. Microbiol Immunol 34:497-508, 1990
5) Asano Y, Itakura N, Hiroishi Y, et al:Viral replication and immunologic responses in children naturally infected with varicella-zoster virus and in varicella vaccine recipients. J Infect Dis 152:863-868, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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