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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 1.様々な環境下での施設内感染制御

4) 透析施設における感染制御

著者: 秋葉隆1

所属機関: 1東京女子医科大学腎臓病総合医療センター

ページ範囲:P.1313 - P.1317

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透析患者の易感染性と感染症の重要性

 最初に透析患者は「感染に弱い」ことを強調する.

 慢性腎不全で透析を受けている患者は細胞免疫の異常,例えば好中球機能,特に貪食能が低下している.この機序として貪食細胞受容体機能低下,運動能低下,化学遊走能低下,接着分子の発現の異常などが指摘されている.また,尿毒症の症状として,低栄養,亜鉛欠乏,副甲状腺機能亢進症,1,25水酸化ビタミンD欠乏症なども易感染性の要因として挙げられる.さらに,頻回の通院・入院,輸血など感染の機会が多いことや,透析室という大部屋で観血的な治療を長時間受けるという環境も,感染症が重要な予後決定因子となっている要因である.

参考文献

1) 日本透析医学会統計調査委員会:図説 わが国の慢性透析療法の現況 2007年12月31日現在 日本透析医学会 2008
2) 秋葉隆,菊地勘:血液浄化療法における感染防止対策 透析患者におけるウイルス性肝炎対策Clinical Engineering 16:1224-1230,2005
3) Nakayama E, Akiba T, Marumo F, et al:Prognosis of anti-hepatitis C virus antibody-positive patients on regular hemodialysis therapy. J Am Soc Nephrol 11:1896-1902, 2000
4) 平成19年度厚労省研究費補助金「透析施設におけるC型肝炎院内感染の状況・予後・予防に関する研究」(主任研究者 秋葉隆)透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル2008.(厚労省Web http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/jinshikkan_a_0001.pdf 2009年9月14日参照)
5) Recommendations for Preventing Transmission of Infections Among Chronic Hemodialysis Patients. (http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5005a1.htm 2009年9月14日参照)
6) 鶴田良成,渡邊有三,山崎親雄,他:愛知県の透析施設におけるB型及びC型肝炎ウイルス感染の現況(第2報)愛知県透宿医会共同研究 日本透析医会雑誌 17:422-429,2002
7) 透析施設における新型インフルエンザ対策ガイドライン(http://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/261/透析施設における新型インフルエンザ対策ガイドライン.pdf,http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20081208_influenza.pdf, http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/07_manual/doc/20081208_influenza_slide_show.pdf 2009年9月14日参照)
8) 新型インフルエンザ対策についての緊急提言(http://www.jsdt.or.jp/tools/file/download.cgi/294/新型インフルエンザ対策についての緊急提言.pdf,http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/03_info/doc/20090501_pandemic.pdf 2009年9月14日参照)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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