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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御

3) 真菌 クリプトコックス

著者: 前﨑繁文1

所属機関: 1埼玉医科大学感染症科・感染制御科

ページ範囲:P.1387 - P.1390

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はじめに

 Cryptococcus neoformansは肺クリプトコックス症やクリプトコックス髄膜炎の原因真菌である.クリプトコックスは世界各地に生息する酵母状真菌であり,環境中の様々な場所で長時間生息することができる.C. neoformansは1894年にSanfelice1)によってモモの果汁から初めて分離培養された.C. neoformansは正常のヒトから検出されることは極めて稀であり,ヒトの常在性真菌ではない.そのため,クリプトコックス症はヒトからヒトへの感染によって発症せず,多数のC. neoformansが生息する環境から感染すると考えられている.環境に生息するクリプトコックスにはCryptococcus neoformans var. neoformansCryptococcus neoformans var. gattiiの2菌種があり,それぞれ環境における生息する場所が異なっている(表1).C. neoformans var. neoformansは主に鳥類の排泄物中に生息し,C. neoformans var. gattiiは主にユーカリの樹に生息する.先に述べたようにクリプトコックス症はヒトからヒトに感染しないため,その感染制御としては環境中のクリプトコックスがヒトに感染することを中心に考える必要がある.

参考文献

1) Sanfelice F:Contributo alla morfologia e biologia dei blastomiceti che si sviluppano nei succhi di alcuni frutti. Ann Igien 4:463-495, 1894
form soil. J Bacteriol 62:685-690, 1951
3) Ajello L:Soil as natural reservoir for human pathogenic fungi. Science 123:876-879, 1956
4) Littman ML:Cryptococcosis(torulosis). Current concepts and therapy. Am J Med 27:976-998, 1959
in the environment of three geographically associated cases of cryptoccal meningitis. N Engl J Med 268:1112-1114, 1963
in Nagasaki. J Clin Microbiol 33:3328-3332, 1995
in pigeon coops by alkalinization. Am J Epidemiol 87:173-178, 1968

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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