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特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御
3) 真菌 クリプトコックス
著者: 前﨑繁文1
所属機関: 1埼玉医科大学感染症科・感染制御科
ページ範囲:P.1387 - P.1390
文献購入ページに移動はじめに
Cryptococcus neoformans は肺クリプトコックス症やクリプトコックス髄膜炎の原因真菌である.クリプトコックスは世界各地に生息する酵母状真菌であり,環境中の様々な場所で長時間生息することができる.C. neoformans は1894年にSanfelice1)によってモモの果汁から初めて分離培養された.C. neoformans は正常のヒトから検出されることは極めて稀であり,ヒトの常在性真菌ではない.そのため,クリプトコックス症はヒトからヒトへの感染によって発症せず,多数のC. neoformans が生息する環境から感染すると考えられている.環境に生息するクリプトコックスにはCryptococcus neoformans var. neoformans とCryptococcus neoformans var. gattii の2菌種があり,それぞれ環境における生息する場所が異なっている(表1).C. neoformans var. neoformans は主に鳥類の排泄物中に生息し,C. neoformans var. gattii は主にユーカリの樹に生息する.先に述べたようにクリプトコックス症はヒトからヒトに感染しないため,その感染制御としては環境中のクリプトコックスがヒトに感染することを中心に考える必要がある.
参考文献
1) Sanfelice F:Contributo alla morfologia e biologia dei blastomiceti che si sviluppano nei succhi di alcuni frutti. Ann Igien 4:463-495, 1894
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4) Littman ML:Cryptococcosis(torulosis). Current concepts and therapy. Am J Med 27:976-998, 1959
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