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特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御
4) ウイルス アデノウイルス
著者: 塩田洋12 田川義継3
所属機関: 1徳島大学 2回生病院 3北海道大学病院眼科
ページ範囲:P.1404 - P.1407
文献購入ページに移動アデノウイルスは,眼科領域では角膜炎や結膜炎を引き起こす.アデノウイルスには54の血清型があるが,このうち強い病原性を示すのは8型,19型,37型,53型,54型であり,これらの感染によるものを流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis;EKC)と呼んでおり,接触感染から発症する.そのほか3型や4型でも,よく似た感染を起こす.これらアデノウイルスは伝染力が非常に強く,院内感染や施設内感染(本稿ではまとめて院内感染と呼ぶ)を引き起こす病原微生物の一つとして,念頭に置いておかなければならない.アデノウイルス角結膜炎による院内感染が発症すると,その終息には大変な努力が必要であり,場合によっては病棟閉鎖や施設閉鎖にもなりかねない.また,アデノウイルスに対する特効薬はまだ開発されておらず,したがって感染予防対策が最重要課題となってくる.予防対策のためには,アデノウイルス角結膜炎とはどんな病気なのか,その診断法・検査法を理解し,どのような予防対策を講じるべきかを知っておく必要がある.本稿ではそれらを中心に述べていく.
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