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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御

4) ウイルス アデノウイルス

著者: 塩田洋12 田川義継3

所属機関: 1徳島大学 2回生病院 3北海道大学病院眼科

ページ範囲:P.1404 - P.1407

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はじめに

 アデノウイルスは,眼科領域では角膜炎や結膜炎を引き起こす.アデノウイルスには54の血清型があるが,このうち強い病原性を示すのは8型,19型,37型,53型,54型であり,これらの感染によるものを流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis;EKC)と呼んでおり,接触感染から発症する.そのほか3型や4型でも,よく似た感染を起こす.これらアデノウイルスは伝染力が非常に強く,院内感染や施設内感染(本稿ではまとめて院内感染と呼ぶ)を引き起こす病原微生物の一つとして,念頭に置いておかなければならない.アデノウイルス角結膜炎による院内感染が発症すると,その終息には大変な努力が必要であり,場合によっては病棟閉鎖や施設閉鎖にもなりかねない.また,アデノウイルスに対する特効薬はまだ開発されておらず,したがって感染予防対策が最重要課題となってくる.予防対策のためには,アデノウイルス角結膜炎とはどんな病気なのか,その診断法・検査法を理解し,どのような予防対策を講じるべきかを知っておく必要がある.本稿ではそれらを中心に述べていく.

参考文献

1) Uchio E, Aoki K, Saitoh W, et al:Rapid diagnosis of adenoviral conjunctivitis on conjunctival swabs by 10-minute immunochromatography. Ophthalmology 104:1294-1299, 1997
2) 大口剛司,有賀俊英,三浦里香,他:アデノウイルス迅速診断キット「キャピリア®アデノ」の検討.臨床眼科 59:1189-1192,2005
3) Saitoh-Inagawa W, Oshima A, Aoki K, et al:Rapid diagnosis of adenoviral conjunctivitis by PCR and restriction fragment length polymorphism analysis. J Clin Microbiol 34:2113-2116, 1996
4) Shimada Y, Ariga T, Tagawa Y, et al:Molecular diagnosis of human adenoviruses d and e by a phylogeny-based classification method using a partial hexon sequence. J Clin Microbiol 42:1577-1584, 2004
5) Ishiko H, Shimada Y, Konno T, et al:Novel human adenovirus causing nosocomial epidemic keratoconjunctivitis. J Clin Microbiol 46:2002-2008, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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