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文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御

5) 原虫・寄生虫・医動物 疥癬虫

著者: 大滝倫子1

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会九段坂病院皮膚科

ページ範囲:P.1441 - P.1444

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ヒゼンダニの形態と生態

 疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. hominis)が皮膚角質層に寄生し起こる皮膚感染症である.

 ヒゼンダニ雌は体長が0.4mm,円形,乳白色で,前方に顎体部を中心に2対の脚,後部に2対の脚をもつ.前2脚には吸盤を,後2脚には剛毛をもつ.雄の体長は雌の約半分で第4脚目に吸盤をもつ.両者とも皺襞と棘を体表にもつ(図1).幼虫の脚は3対である.図2にヒゼンダニの生活環を示す.雄雌交尾後,雌は疥癬トンネルを角層内に掘り進み,1日2~3個の卵を約1か月間産み続ける.3~4日で孵化した幼虫は胸や腹部など適当な部位に移動する.そこで一時的な穴を角層に掘り,脱皮を繰り返し,若虫を経て成虫となる.生活環は10~14日である.

参考文献

1) Mellanby K:Biology of the Parasite. Scabies and Pediculosis, J.B. Lippincott Company, Philadelphia and Toronto, pp8-16, 1977
2) 石井則久,朝比奈昭彦,天谷雅行,他:疥癬診療ガイドライン(第2版).日皮会誌 117:1-13,2007
3) 大滝倫子,谷口裕子,牧上久仁子:高齢者施設での疥癬の集団発生に対するイベルメクチンの治療効果.臨床皮膚科 59:692-698,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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