icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査53巻11号

2009年10月発行

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 8.感染制御に必要な消毒薬の知識

感染制御に必要な消毒薬の知識

著者: 辻明良1

所属機関: 1東邦大学

ページ範囲:P.1500 - P.1504

文献購入ページに移動
感染制御と消毒薬

 感染制御とは,①感染症の発生を未然に防ぐこと,②発生した感染症を制圧することである.そのためには,適切な予防措置と適正な治療が重要である.感染が成立するには,①病原体,②感染経路,③宿主の3つの要因が必要であり,この3つが揃って初めて感染が成立する.そのため,感染対策は,この3つの要因のうちどれか1つでも取り除けばよいことになる.すなわち,①病原体を殺滅すること,②感染経路を遮断すること,③感受性のある宿主を正常化させることである.

 感染制御における感染対策の基本は,病原体を“持ち込まないこと”,“持ち出さないこと”,“拡げないこと”であり,病原体の排除と感染経路(伝播)の遮断である.その主な処理・処置が消毒薬の使用で,その不適切な使用は交差感染を起こし,院内感染を発生させ蔓延させる結果となる.消毒薬の特性をよく理解し選択し使用することが重要である.

参考文献

1) 辻明良:感染制御のための消毒の基礎知識,ヴァンメディカル,東京,2009
2) 辻明良:患者さんを守る! 自分を守る! 感染予防の基礎知識.クリニカルスタディ 28:681-693,2007
3) 辻明良(監修):きちんと感染管理(介護職員のための感染対策マニュアル),全国社会福祉協議会,2006
4) 厚生労働省:高齢者介護施設における感染対策マニュアル(主任研究者:辻明良).http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html(2009年8月31日参照)
5) 辻明良:消毒薬の進歩と変遷.Circles for the future of quality care 8:3-7,2006
6) 辻明良:感染制御の基礎知識 改訂2版,メディカ出版,2004
7) 辻明良,村井貞子(編):院内感染対策へのサポート,南山堂,2003
8) 辻明良:消毒薬の抗微生物試験法 抗細菌・抗真菌試験法について(解説/特集).臨床と微生物 29:357-366, 2002
属に対するグルタラール製剤とフタラール製剤の殺芽胞効果,日本環境感染誌 17:335-340, 2002
10) 辻明良,李秀華,宮本圭,他:MRSA,腸球菌,O157,セラチア,緑膿菌,およびB. cepaciaに対する消毒薬の最小殺菌濃度(MKC)と手指消毒除菌効果.日本環境感染誌 17:268-274,2002
11) 辻明良,五島瑳智子(編):在宅感染対策ハンドブック,ヴァンメディカル,2001
12) 辻明良:細菌性バイオフィルムと消毒薬.感染症 28:107-111,1998
に対する消毒薬の殺菌効果と作用温度による影響.日本環境感染誌 13:1-4,1998
14) 辻明良,山崎智子,土屋朱未,他:バイオフィルム形成菌に対する消毒薬の殺菌効果.BACTERIAL ADHERENCE研究会講演録 9:97-102,1996
15) 辻明良,森下浩美,高森スミ,他:手術前手洗いにおけるスポンジスクラブ法の有用性,日本環境感染誌 9:1-3,1994
evaluation method for bactericidal effect of disinfectants. Recent Advances in Chemotherapy p1068-p1069, American Society for Microbiology 1994
のslimeの影響,感染症学雑誌 60:1324-1333,1986
18) 五島瑳智子,辻明良:消毒薬の殺菌作用の評価法,臨床検査 27(11):1406-1411,1983
19) 五島瑳智子,辻明良:消毒薬の評価法,検査と技術 8(3):200-206,1980
20) 辻明良,関口金雄,金子康子,他:各種消毒薬の作用濃度,作用時間および血清添加による殺菌効果の変動,感染症学雑誌 53(6):292-303,1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?