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雑誌詳細

文献概要

特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 各論 8.感染制御に必要な消毒薬の知識

感染制御に必要な消毒薬の知識

著者: 辻明良1

所属機関: 1東邦大学

ページ範囲:P.1500 - P.1504

感染制御と消毒薬

 感染制御とは,①感染症の発生を未然に防ぐこと,②発生した感染症を制圧することである.そのためには,適切な予防措置と適正な治療が重要である.感染が成立するには,①病原体,②感染経路,③宿主の3つの要因が必要であり,この3つが揃って初めて感染が成立する.そのため,感染対策は,この3つの要因のうちどれか1つでも取り除けばよいことになる.すなわち,①病原体を殺滅すること,②感染経路を遮断すること,③感受性のある宿主を正常化させることである.

 感染制御における感染対策の基本は,病原体を“持ち込まないこと”,“持ち出さないこと”,“拡げないこと”であり,病原体の排除と感染経路(伝播)の遮断である.その主な処理・処置が消毒薬の使用で,その不適切な使用は交差感染を起こし,院内感染を発生させ蔓延させる結果となる.消毒薬の特性をよく理解し選択し使用することが重要である.

参考文献

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掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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