臨床検査53巻11号

2009年10月発行

特集　医療・福祉施設における感染制御と臨床検査 感染制御対策Ｑ＆Ａ

心臓血管外科の術後患者にMRSA菌血症のアウトブレイク

著者： 草地信也¹

所属機関： ¹東邦大学医学部外科学第3講座

ページ範囲：P.1378 - P.1380

症例：心臓血管外科で大動脈弁置換術を実施した60歳の男性が，術後3日目に発熱し，血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された．胸骨正中切開の縫合部位にも感染徴候があり，同部位の分泌物からもMRSAが検出された．この患者以外に，同じ病棟で最近1か月以内に心臓血管外科で手術を受けた腹部大動脈瘤の患者，心臓ペースメーカー植込み術を行った患者の2名がMRSAによる術後創感染を発症していた．なお心臓血管外科では周術期感染予防のための抗菌薬として，セファゾリンを手術直前から術後3日間使用している．

参考文献

1) Kusachi S, Sumiyama Y, Arima Y, et al：Success of countermeasures against respiratory infection after digestive surgery by strict blood and fluid resuscitation. J Infect Chemother　13：172-176, 2007

2) 市原利彦，藤井玄洋，佐々木通雄，他：心臓外科術後感染症に対する感染予防策標準化の効果．日本集中治療医学会雑誌　16：209-210，2009

3) 後藤満一，北川雄光，木村理，他：日本消化器外科学会，消化器外科データベース委員会2007年度調査報告．http://www.jsgs.or.jp/modules/oshirase/index.php?content_id=55(2009年8月22日参照)

4) Finlayson EV, Goodney PP, Birkmeyer JD：Hospital volume and operative mortality in cancer surgery：a national study. Arch Surg　138：721-725, 2003

5) Kusachi S, Sumiyama Y, Arima Y, et al：Creating a manual for proper hand hygiene and its clinical effects. Surg Today　36：410-415, 2006

6) 草地信也，炭山嘉伸：術後，病棟におけるSSI対策．臨床外科　60：445-450，2005

infection. Surg Today　29：724-729, 1999